おやぢの部屋2
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MOZART/Requiem
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Maria Stader(Sop), Hertha Töpper(Alt)
John van Kesteren(Ten), Karl Christian Kohn(Bas)
Karl Richter/
Münchener Bach-Chor
Münchener Bach-Orchester
TELDEC/WPCS-12551(hybrid SACD)




今まで、ESOTERICにはSACDの音源を提供していたWARNERですが、このたびついに自社製品としてのSACDを発売することになりました。これで、晴れて「3大メジャー」と言われるところはすべてSACDを出したことになります。
その中から、かつてLPで持っていたこれを買ってみました。なんせ、生まれて初めて買ったこの曲のレコードだったものですから。
まずは、パッケージとしてのでき具合の点検です。国内盤というのは、こういうのがいい加減なものが多いので、このチェックはぜひとも必要です。ジャケットは、これがオリジナルなのでしょうね。だまし絵でしょうか。なつかしい「TELEFUNKEN」のマークには感激です。しかし、録音スタッフのクレジットが全くないのは、仕方がないとしても、今回のSACDのマスタリングに関しての正確な記載が一切ないことには、完全に失望させられました。これでは、このメーカー(ワーナー・ミュージック・ジャパン)が今回どんな意味を持ってSACDを出しかということが全く分からないではありませんか。CDとは比較にならない価格設定なのですから、少なくともどういうマスターが使われていて、どの段階でだれがSACDへのマスタリングを行ったかぐらいのことは明らかにしてもらいたかったものです。要は、出所だけはきちんと教えてほしいだけなのですよ。別にそれが日本向けのサブマスターでも、一向に構わない訳で、ライナーノーツにあるような「オリジナルマスター」というあいまいな言い方で逃げてしまうのが一番許せません。
さらに、録音年代も、今までのデータでは「196110月」となっていたものが、「1960年」になっていますが、これは新しく判明した年代なのでしょうかね。しかし、製造クレジットでマルCが「2002年」になっているぐらいですから、そんな数字も信用する気にはなれなくなってしまいます。これは、ライナーノーツの著作権表示ですから、本文の、今回の書き下ろしの原稿に記載してあるように「2012年」と書くべきものなのですからね。
と、まあ、いまさらながら国内のメーカーのやる気のなさには、呆れかえってもはや言葉もありませんが、出てきた音はそんないい加減な人たちが作ったとはとても思えないような素晴らしいものでした。大昔の記憶などはあてになりませんが、確かLPでは高音が変に強調された安っぽい音だったような印象だったものが、このSACDではとてもソフトで落ち着いた音に変わっていました。そして、解像度は確実にアップ、最初に聴こえるヒスノイズさえ、なにか生々しく感じられます。オーケストラの個々の楽器もくっきりと浮き上がって聴こえますから、バセットホルンではなくクラリネットが使われていることも分かってしまいます。この当時は、それが一般的だったのでしょう。
そして、なにより素晴らしいのが、合唱です。リヒターの合唱団はあまりうまくない、というのはよく言われていることですが、どうしてどうして、この伸びのある澄んだ声には正直びっくりしてしまいました。要するに、彼らは単に「プロではない」というところでレベルが低いように思われていたのでしょう。合唱の場合は、なまじ「ベル・カント」を身に付けた「プロ」など、邪魔なだけです。確認のために同じころ(1958年)に録音されたARCHIVの「マタイ」を聴いてみると、確かに合唱の録音はかなりひどくて、これだけ聴いたのでは「ヘタ」だと思ってしまうかもしれないようなものでした。このTELEFUNKENの録音ではまるで別の合唱団のようにクリアに聴こえてきます。
そんな合唱団が、例えば「Kyrie」あたりで聴かせてくれる、バッハで散々鍛えられたポリフォニーは、本当に重みのある素晴らしいものでした。そんな重さは曲全体に貫かれていて、とても厳粛な思いにさせられます。同じフーガで「quia pius es」と全曲が締めくくられると、その残響の中に、あのリヒターのまじめくさった顔が見えてくるようでした。

SACD Artwork © Teldec Classics International GmbH
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by jurassic_oyaji | 2012-09-28 20:09 | 合唱 | Comments(0)