おやぢの部屋2
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The Columbia Stereo Recordings
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Leopold Stokowski/
Philadelphia Orchestra
American Symphony Orchestra
National Philharmonic Orchestra
SONY/88691971152




78回転のSPの時代から、もしかしたらデジタル録音の時代まで生きたかもしれないというストコフスキーですから、記録された演奏は膨大な数に上ります。レーベルも、多方面にかかわっていましたしね。そんな中で、アメリカ・コロムビア(いわゆる「CBS」)にステレオで録音したものはLP10枚しかありません。そのすべてが、この前のバーンスタインのマーラーのようにオリジナルの紙ジャケット仕様のボックスになりました。これらもまた、歴史的に重要なアルバムばかり、好き嫌いにかかわらず、すべての人がアーカイヴとして持っていたいものです。と、例によって数年前までは考えられないような価格でしたので言ってみました。
録音は1960年から1977年までのもの。その間に、オーケストラはフィラデルフィア管、アメリカ響、そしてイギリスのナショナル・フィルと変わっています。
ストコフスキーがまさに一時代を築いたフィラデルフィアとは、ほぼ20年ぶりの共演としてのコンサートが行われた後にスタジオで録音が行われました。たった1日でLP2枚分の量の録音が完了していたのは、リハーサルは必要なかったからでしょうか。ただ、バッハ・アルバムに入っている「ブランデンブルク協奏曲第5番」はコンサートでは取り上げてはいませんでしたから、大変だったでしょうね。これは、フィラデルフィアの首席フルート奏者、ウィリアム・キンケイド(彼は、40年近くこのポストにあったそうです)と、コンサートマスターのアンシェル・ブルシロウ、それにチェンバロのフェルナンド・ヴァレンティがソロを務めています。チェンバロはもちろんモダン・チェンバロ、その骨太の音を聴いていると、こんなのも悪くないな、と思えてきます。ストコフスキーのとんでもないリタルダンドには笑ってしまいますが。カップリングのオルガン・コラールの編曲は、バッハへの愛がとても深いところで感じられるものです。
次の2枚は、ストコフスキーが1962年に創設したアメリカ響との、ともに名盤として今でも良く聴かれているものです。まずは、グレン・グールドとの共演でベートーヴェンの「皇帝」(LPのタイトルが「Emperor Concerto」ですから)。これは、発売当時に冒頭のピアノのカデンツァのあまりの異様さにだれしもが驚いたというアイテムですね。確かに、グールド以降、こんなことをやった人はあまりいないのではないでしょうか。その割には、再現部の同じ形のところではいともあっさり弾いているんですね。これは、今聴き直してみると、終楽章のグールドのテンポ設定に驚かされます。もう一つは、ストコフスキーが初演した、アイヴズの「交響曲第4番」です。これも、例の第2楽章の「新しさ」は、まさにストコフスキー好み、今聴いてもそれは感動的です。このCDにだけ別のLPからのボーナス・トラックが入っていますが、今回のボックス以外にも録音があったということなのでしょうか。
残りの6枚は、1972年にアメリカ響を辞めて(オーケストラ自体は、今でもちゃんと活動しています)イギリスに渡り、最後の公開の演奏会の後、1976年からコロムビアと「6年契約」を結んだスタジオ録音の成果です。オーケストラはナショナル・フィルという、オペラの録音などで定評のあるセッション・オーケストラでした。ステージに立つことはありませんから、メンバーの服装は華やかです(ファッション・オーケストラ)。この頃になると、すっかり毒気が抜けた、ある種「爽やか」な音楽をやるようになっていたのも、意外な発見でした。ブラームスの「交響曲第2番」などは、流れるように自然な芸風、でも、カップリングの「悲劇的序曲」が目いっぱい明るいのは、さすがです。そして、結局6年の契約は果たすことはできず、1977年6月4日のセッションが彼の生涯での最後の録音となりました。その時のビゼーの「交響曲ハ長調」の第2楽章のオーボエ・ソロでは、もはや「ストコフスキー節」が聴かれることはありません。

CD Artwork © Sony Music Entertainment
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by jurassic_oyaji | 2012-10-04 20:10 | オーケストラ | Comments(0)