おやぢの部屋2
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MAHLER/Symphony No.8
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Manuela Uhl, Julianna di Giacomo, Kiera Duffy(Sop)
Anna Larsson, Charlotte Hellekant(Alt)
Burkhard Fritz(Ten), Brian Mulligan(Bar)
Alexander Vinograsov(Bas)
Gustavo Dudamel/
Coro Sinfónico Juvenil Simón Bolívar de Venezuela etc.
Los Angeles Philharmonic
Simón Bolíval Symphony Orchestra de Venezuela
DG/00440 073 4890(BD)




今年の2月17日と18日に、ヴェネズエラの首都カラカスのテアトロ・テレサ・カレーニョで行われたマーラーの「千人の交響曲」のライブ映像です。雨が降っても大丈夫(それは「唐傘」)。データは一応2日間となっていますが、17日はリハーサルだったのかもしれませんね。いや、なんせ出演者が合唱だけでも1000人を超えていますから、その家族や親族、友人などが聴きに来たとなると、いくら広いこのホールでもとても1回では収容しきれなくて、やはり2回公演を行ったのかもしれません。都響だって「3回」もやっていたのですからね。
その1000人の合唱というのは、実際に見てみるとものすごいインパクトを与えられるものでした。
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ためしに数えてみたのですが、ひな壇は20段ぐらい、1列に50人以上はいるようですから、間違いはないでしょう。正確な人数を知りたければ、エンドロールで全員の名前が流れますから、それを逐一数えてみるのも一興でしょう。この合唱団は、すべてヴェネズエラ国内の20以上の団体から集まった人たちで構成されています。前の4列ぐらいの白いシャツの一団が児童合唱、その後ろが大人の合唱ですが、ほとんどが若い人のようですね。児童合唱は全員暗譜ですが、大人はみんな楽譜を持っていました。
そして、オーケストラは、LAフィルと、シモン・ボリバル交響楽団の、これはほぼフルメンバーが乗っている合同演奏です。このヴェネズエラのオーケストラも、ドゥダメルが音楽監督を務めていますが、いつも指揮をしているユース・オーケストラとは別の、大人のプロオケですね。ただ、弦楽器は通常のほぼ倍(32型?)はいるようですが、管楽器は楽譜に指定された人数だけで、「弦楽器が多い場合は倍にしろ」という指示には従ってはいません。それでも、バンダを合わせると200人は超えるはずです。
そんな大人数ですから、演奏はさぞ大味なものになるのでは、という恐れはありました。確かに、始まったあたりや、途中の盛り上がるところでは何度か合唱が走り過ぎて収拾がつかなくなりそうなこともあったのですが、大事故に陥ることはなく、ほぼ冷静に演奏が進んでいったのは何よりでした。というか、そんなちょっとした暴走も、的確な表現に置き換えてしまえるほどの度量の大きさが、ドゥダメルの指揮にはあったのではないでしょうか。実際、この演奏では、大人数ゆえの甘さといったものはほとんど感じられなかったばかりか、いとも細やかな表情まで的確に表現されていましたよ。
そんな高水準の演奏をなしえたのには、このとんでもない人数の合唱の力が大きく関わっていたことは間違いありません。この国の音楽教育の底辺を支える「エル・システマ」という組織からは、ドゥダメルをはじめとした世界的な演奏家が輩出されていますが、その成果はしっかり合唱の分野でも結実していたことが、ここでも明らかになりました。ここで聴けたのは、基本のメソッドが徹底されていることが良くうかがえるハイレベルの合唱でした。何よりも、変なクセのついていない澄んだ声を持つ若い人たちの集まりですので、これだけの人数が集まっても音が濁らないのが素晴らしいところです。そこからは、力みの全くないところから真に力強い「塊(かたまり)」としての合唱が聴こえてきます。
今までこの曲を聴いてきた時に、大人たちがまさに金切り声で叫んでいたような場面でも、ここでの彼らはいとも軽々とそれ以上に力強く美しい声を届けてくれています。これも、「システマ」の一つの奇跡なのでしょう。
BDの映像の最後には、演奏が終わってリラックスしている合唱団員が大声を上げて客席のある人物が退席するのを見送っている場面が映ります。その人こそ、「システマ」の創設者、ホセ・アントニオ・アブレウだったのです。

BD Artwork © Deutsche Grammophon GmbH
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by jurassic_oyaji | 2012-10-10 21:11 | オーケストラ | Comments(0)