おやぢの部屋2
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Schubert and the Flute
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Marieke Schneemann(Fl)
Francine van der Heijden(Sop)
Bart van Oort(Fp)
QUINTONE/Q10003




2006年頃からリリースを始めたオランダのレーベル「QUINTONE」は、一時日本のディストリビューターの都合でしょうか、国内では見かけないようになっていましたが、最近になってまた流通しているようですね。このレーベルは、品番が非常にわかりやすく、最初の2桁が年号の末尾、そのあとがタイトル番号となっています(頻繁に眺めているうちに発見しました)。それによると、2006年には1タイトル、2007年には2タイトル、その後は年間5~7タイトルがリリースされていたことが分かります。ですから、今回のシューベルトは、2010年にリリースされていたことになります。
ただ、以前こちらで発覚したように、SACDハイブリッドという情報を信じて購入したらノーマルCDだったというようなことがありますから、なんだか胡散臭いところがあります。今回一緒に入手したものの中には、ウェーバーのアルバムのように実際にSACDもあったのですが、それは公式サイトではCDとなっているんですよね。そのSACDにしても、確かにいい音なのですが、CDレイヤーとの音の違いがあまりにはっきりしすぎていて、これもちょっと信用できません。ジャケットのセンスなどは抜群なのですがね(Q09001)。
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このシューベルトは、企画のおもしろさが光ります。ここでは、シューベルト自身の作品は、彼が想定した楽器に近いもの、そして、テオバルト・ベームによるシューベルトの歌曲の編曲は、そのベームが発明したシステムによる楽器という、2種類の楽器によって演奏されているのです。厳密には、1824年に作られた「しぼめる花変奏曲」で使われているのは、1825年に製作されたウィルヘルム・リーベルの11キーの楽器のコピーなのですが、実際に友人のフルーティスト、フェルディナンド・ボーグナーが使っていたのはシュテファン・コッホの9キーだと言われています。もっと若いころのヴァイオリンソナタ第1番のフルート版でも、同じ楽器が使われています。
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↑9キー
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11キー
一方の1870年に作られたベームの作品では、しっかり同じ頃に作られたルイ・ロットの木管のベーム管が使われています。
この2種類の楽器は、音色にはそれほど違いがあるようには感じられません。どちらも低音から高音まで、とてもやわらかい響きを聴くことが出来ます。しかし、音程とか音の滑らかさでは、明らかにベーム管の方が勝っています。特に3オクターブ目の高音域では、リーベルの11キーはかなり悲惨、高音のG♯などは音になっていません。
そのせいかどうか、シューベルトの作品でも、最後に入っている「岩の上の羊飼い」では、ベーム管が使われています。この曲は本来はピアノ伴奏によるソプラノの歌曲に、クラリネットのオブリガートが加わるものですが、それをフルートで吹いているのですね。やはり、クラリネットと同じ滑らかさと音量を得るには、ベーム管の方がいいのでは、という演奏家の判断だったのでしょうか。
その演奏家は、マリーケ・シュネーマンというオランダのフルーティストです。ピリオド楽器でもモダン楽器でもきちんとした教育を受けた人のようですね。ゲルギエフが指揮者を務めていた時代のロッテルダム・フィル(現在の指揮者はネゼ=セガン)で、首席フルート奏者だったこともあるそうです。彼女の演奏は、とてもユニークなもの、息に思い切り感情を込めて、とても多彩な表現を繰り広げています。時には語るように、そして時には歌うように、ちょっと過激ですが確実に心に届く演奏が、そこからは聴こえてきます。それは、モダン楽器に比べて「ムラ」のあるピリオド楽器の特性を逆手に取った、最大限に変化にとんだ演奏です。
「岩の上の羊飼い」でのソプラノ、ファン・デア・ヘイデンも、きっちりとピリオドのツボを押さえたとても素晴らしい歌です。フォルテピアノのファン・オールトも、しっかりとしたサポートです。

CD Artwork © Quintone Records
Flute Images © Rick Wilson's Historical Flute Page
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by jurassic_oyaji | 2012-10-16 23:14 | フルート | Comments(0)