おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
MOZART/Symphonies Vol.3
c0039487_19443565.jpg



Adam Fischer/
The Danish National Chamber Orchestra
DACAPO/6.220538(hybrid SACD)




2007年に「第5巻」からスタートしたアダム・フィッシャーとデンマーク国立室内管弦楽団とによるモーツァルトの交響曲の年代順全集は、今までに全部で11巻のうちの7巻までがリリースされています。最新の「第9巻」はあいにく国内では来月にならないと入手できませんから、今の時点では「最新」となる「第3巻」で我慢してください。
現時点では、最も初期の作品が集められているこのアルバムには、1769年から1770年、つまりモーツァルトが13歳から14歳の時に作られた交響曲が収められています。収録されているのは「9番」、「10番」、「11番」、そして番号が付いていない3曲の計6曲です。しかし、それらにも実は「44番」、「45番」、「47番」という番号が付いていた時代があったことを知る人は、今となっては少なくなってしまいました。
以前こちらでも書いたことですが、モーツァルトの交響曲やさらにはソナタや協奏曲の番号は、全くモーツァルト本人のあずかり知らないところでつけられたものでした。そもそも、作品番号にしても、モーツァルトの死後70年以上も経った1862年にやっとルートヴィッヒ・ケッヘルによって付けられたものなのですからね。そのケッヘルは、単に作品の目録をつくるだけではなく、モーツァルトのすべての作品をきちんとオリジナルの形で出版したいと考えていました。結局、ケッヘルは志半ばで1877年に亡くなりますが、まさにその年からブライトコプフ・ウント・ヘルテルからブラームスやライネッケなどという大作曲家なども協力してモーツァルトの作品全集の刊行が始まっています。それは、「補遺」も含めると1910年まで続き、全部で24の「編」、およそ65巻から成る全集が完成します。これが、今では「旧モーツァルト全集Alte Mozart-Ausgabe」と呼ばれているものです。その時に交響曲などにはしっかり番号が付けられました。交響曲は「第8編」として、3つの「巻」に収められています。ここで付けられたのが、41番までの番号です。最後のハ長調の交響曲は、この時以来「交響曲第41番」と呼ばれるようになったのですね。
しかし、交響曲の出版が終わった後も、新たに「交響曲」と認められるものが現れます。それらが第24編の「補遺」の中に集められ、42番以降の番号を付けられることになりました。それらは、作曲年代などはあまり考慮されず、いともホイホイと付けられてしまったのでしょうね。
その後、研究が進んで作品の正確な作曲年代が分かるようになってくると、最初に付けた交響曲の順番もいい加減だったことも分かってきますし、偽作であることが判明して欠番になるものも出てきます。ですから、1955年から刊行が始まった「新モーツァルト全集」(ベーレンライター)では交響曲の番号はなくなり、付くのはケッヘルの番号だけになっています。まあ、それでは不便だというので、普通は便宜的に旧全集の番号を併記していますから、このアルバムのように「番号なし」という不公平な目に遭う交響曲も出てくることになるのですね。
このあたりの交響曲はまともに聴くのはおそらく初めての事ではないでしょうか。なかなか新鮮な気持ちで味わうことが出来ました。しっかり、それぞれの曲のキャラクターが際立っているのもさすがです。「45番(K6=73n)」では、ニ長調アレグロの第1楽章がD7という属7の和音で終わっているのですね。もちろん、それは全然終止感がありませんから、そのまますんなりト長調の第2楽章に続いていくのです。モーツァルトが、こんなラジオドラマみたいな終わり方をやっていたなんて。第3楽章も、メヌエットはニ長調ですが、トリオではなんとニ短調になってますよ。
「9番」などは、こんな若いころの作品にもかかわらず堂々たる風格を与えてくれるのは、フィッシャーの颯爽たる指揮のおかげでしょう。なにしろSACDですから、弦楽器の生々しさまではっきり味わえるとびきりの録音、存分に楽しめます。

SACD Artwork © DRS 11
[PR]
by jurassic_oyaji | 2012-10-22 19:46 | オーケストラ | Comments(0)