おやぢの部屋2
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WAGNER/The Ring Without Words
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Lorin Maazel/
Berliner Philharmoniker
EUROARTS/2057607(BD)




前回はBD1枚でワーグナーの「指環」全曲を聴いてしまいましたが、今回もやはりBD1枚の「指環」という企画です。ただ、こちらはしっかり映像も見られますから、さらにお買い得。
とは言っても、こちらは「全曲」ではありませんでしたね。さすがにまだそんなメディアは開発されてはいなかったのでした。要するに、「指環」のいいとこを集めてオーケストラで演奏した、というだけのことなのですがね。前例としては、そんなものは、1991年にデ・ヴリーガーが編曲したものがありましたね。正確には、今回のマゼール自身の編曲の方が先、1987年にアメリカのレーベルTELARCの要望に応えて編曲を行い、それをベルリン・フィルと録音したのですね。それ以来、この編曲はマゼールの「持ちネタ」となり、世界中のオーケストラとことあるごとに共演しています。つい先日も日本のNHK交響楽団と初めて共演した時にも、「名刺代わり」に演奏していましたね。
今回の映像は、マゼールと、この編曲を初演したベルリン・フィルとのコンサートのライブです。BDDVDともに昨年リリースされていたものなのですが、なぜか大幅に価格を下げて別の装丁になったものが出ました。BDとしては想定外の値段だったので、つい買ってしまいましたよ。
手元に届いたもののクレジットを見ると、なんだか日本人っぽい名前の人がディレクターやプロデューサーとして名を連ねていました。さらによく見てみると、これは「テレビマン・ユニオン」と「WOWOW」との共同制作であることも分かりました。「なんでWOWOWが?」という疑問は、録音年を見て氷解します。この映像が録画されたのは2000年だったのですよ。BDだからてっきり最近のものだと早合点してしまいましたが、これはそんな大昔の映像なのでした。いや、確かにこのころすでに「ハイビジョン」はありましたから、フルHDの素材があってもおかしくはありません。そして、今のWOWOWからは想像もできませんが、このBSチャンネルは、この時期にはベルリン・フィルの演奏会を定期的に収録して、それを放送していたのですよ。もちろん、技術スタッフは現地のメンバーですが、制作はしっかりテレビマン・ユニオンとWOWOW自身だったのですね。おそらく、当時はこの映像目当てにWOWOWに加入した人が、クラシック・ファンの中には結構いたのではないでしょうか。そんな映像が、今頃になってBDとして商品化されたのですね。そういう意味で、これは「歴史的映像」と言えるかもしれませんね。
実際はたった12年前の映像ですが、ベルリン・フィルのメンバーはかなり顔ぶれが変わっていました。コンサートマスターも、今はもういない人ですし、フルートパートには、やはりすでに退団しているピッコロのデュンシェーデとともに、なんか日本人のような人がいます。そう、この方は、日本人フルーティストとしては恐らく初めてベルリン・フィルの団員(産休団員の代わりを務める契約団員)となった庄田奏美(かなみ)さんです。
マゼールの編曲は、ごく素直に曲をつなげたものでした。「Without Words」とあるように、歌手が言葉をつけて歌う部分は楽器で演奏されているあたりが、ちょっと違和感があるぐらいでしょうか。でも、それぞれに「ソリスト」は健闘しています。「黄昏」でのラインの乙女のアンサンブルをクラリネット3本で演奏しているのなどは、大成功でしょう。曲のつながりもとても自然、「ワルキューレ」から「ジークフリート」に変わった部分などは、あまりの滑らかさに曲が変わったのにも気づかないほどでした。
例えば、オペラの「ラインの黄金」などは、オーケストラは2時間半の間全く休むことなく演奏を続けます。それはピットの中だから何とかなるものなのですが、ステージに上がって83分間全く休みなしという体験は、演奏する側はもちろん、聴く側にとってもかなりつらいものなのだな、と切実に感じてしまった映像でした。

BD Artwork © EuroArts Music International GmbH
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by jurassic_oyaji | 2012-10-28 20:56 | オーケストラ | Comments(0)