おやぢの部屋2
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MENDELSSOHN/Symphony No.1 & No.5




Roger Norrington/
Radio-Sinfonieorchester Stuttgart des SWR
HÄNSSLER/CD 93.132



ノリントンとシュトゥットガルト放送交響楽団のコンビ、今回はメンデルスゾーンに挑戦してくれました。声楽の入った「2番」を抜いた4曲を、ベートーヴェンの時のような「連番」ではなく、「1、5」と「3、4」というカップリングでリリースです。ここでは、あえて「売れ筋」の「3、4」を避けて、ちょっと渋い「1、5」を取り上げてみましょう。
ライナーを見て、ノリントンが面白いことをやっているのに気づきます。曲によってオーケストラのサイズを変えていて、その詳細をきちんと表示しているのです。それによると、「1番」では[VnI.VnII.Va.Vc.Cb][8.8.6.4.3]、「5番」では[14.14.12.10.8]、ただし、第3楽章のアンダンテでは[8.8.6.5.4]と小さくしているというのです。第3楽章で半分の弦楽器奏者が休むというのも珍しいことですが、それよりも第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが同じ数だというところが、「現代」の編成に慣れた目には奇異に映ることでしょう。現在、世界中どこのコンサートホールでも見られる標準的な編成はこれよりも第1ヴァイオリンがもう2本増えた[16.14.12.10.8]という、いわゆる「16型」、人員がそろえられない地方オーケストラのように、それぞれのパートを2本ずつ減らした「14型」で我慢してもらっているところもありますが、第1ヴァイオリンが第2ヴァイオリンより人数が多くなっている点は変わりません。しかし、ノリントンは、メンデルスゾーンの当時のオーケストラの編成を反映した「オーセンティック」な道を取ります。あくまで第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンは「対等」だという立場ですね。ですから、もちろん、ステージ上でもこの2つのパートはお互いに反対側に位置するという「当時の」スタイルになっています。ただ、コントラバスを、そんなときの定位置である向かって左奥を避けて、最後列に一列に並べるというのが、ノリントンのやり方です。
このノリントンのオーケストラ、そのアンサンブルはますます精密になってきました。それは、「5番」の第1楽章の最初、ちょっとした導入のあとの管楽器によるコラールを聴けば分かります。まるで一つの楽器のように完璧にそろえられたアインザッツとフレージングは、まさに神業です。その歌い方を聴いていると、それは、ノンビブラートの弦楽器と見事に呼応しているのも分かります。ダイナミックスの変化だけでインプレッションを表現しようとする「ノリントン流」が、ここまで徹底されるようになってきたのですね。そして、それに続く弦楽器の「ドレスデン・アーメン」の、まるで天国的な美しさはどうでしょう。後にこのメロディーが使われることになる「パルジファル」の世界を、ここから垣間見ることも出来るはずです。
ただ、確かにその澄み切ったアンサンブルは驚異的ではあるのですが、第3楽章のような長いフレーズをしっとり歌い上げるという場面では、このノンビブラートがやや物足りないものに思えてしまいます。というのも、ここでは木管はそれなりのビブラートで「普通に」歌っているので、同じフレーズを弦の「ノリントン流」で聴いてしまうと、いかにも素っ気なく聞こえてしまうのです。まるで、苦い薬をそのまま飲んだよう(それは「オブラート」)、このちょっとした「確執」が、「造反」につながらなければよいのですが。
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by jurassic_oyaji | 2005-05-23 19:34 | オーケストラ | Comments(0)