おやぢの部屋2
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TCHAIKOVSKY/Symphonies Nos.4,5
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Vladimir Jurowski/
London Philharmonic Orchestra
LPO/LPO-0064




ロンドンのオーケストラのうちで、最初に自分のレーベルを持ったのはロンドン交響楽団だったのでしょうか。2000年に発足した「LSO Live」というレーベルは、録音スタッフも有名な人を集め、録音のクオリティにも神経を使っていて、すべてのアイテムをハイブリッドSACDでリリースするほど、その音には自信を持っています。それから少し遅れて2005年に自主レーベルを立ち上げたのが、ロンドン・フィルです。こちらは「LPO」という素っ気ないレーベル名ですし、特に新録音にはこだわることなく、アーカイヴ的なものもまぜこぜにしてリリースしていましたから、音に関してはそれほどこだわってはいないような印象を受けていました。しかし、最近の新録音などは、たまにすごい録音に巡り合えることもあるので、ちょっと気になりかけているところです。
今回のチャイコフスキーの4番と5番の2枚組のCDも、ちょっと耳をそばだてられるような良質の録音でした。それは、LSOの、とてもナチュラルなのだけれど、ちょっとおとなし目のサウンド・ポリシーとは対照的な、それぞれのパートがくっきり浮かび上がってくるようなとても派手なサウンドだったのです。例えてみれば、1960年代のアメリカCOLUMBIAのような音ですね。時代の流れとしては、そのようなある意味「不自然」な音づくりは、最近では慎まれる傾向にあります。もっとオーケストラ全体、さらにはホール全体の自然なバランスを大切にしようという流れでしょうか(LSOがまさにそんな好例)。
しかし、このLPOのような言わば昔のHi-Fi風の音には、なにかとても魅力が感じられます。実際にホールでは聴くことのできない、管楽器奏者の息遣いなどもくっきり聴きとれる、言ってみれば「禁断」の味に引き込まれるのですね。さらに、音がものすごくゴージャス。まさにきらびやかな音の洪水で窒息させられそうになるほどです。
そんな華やかな音で聴くチャイコフスキーが、気持ちよくないはずがありません。チャイコフスキーには、先日のダウスゴーのような禁欲的な扱いなんか必要ありません。こんな風にひたすら華やかで豪華、これが醍醐味ですよ。
そんな音の中で、ユロフスキは、まさに「禁欲」からは対極にある技を繰り出してきます。彼はまるで野獣、どんな時でもその力を緩めることはしません。ひたすら突いて突いて突きまくり、相手には瞬時の休みも与えず、絶頂が訪れて果てるまで、体の最も敏感な部分に刺激を与え続けるのです。
なんて言ってると、果てしなくエロに近づくので(エロフスキですね)もう少し音楽的な言い方に翻訳すると、彼の音楽には老練な指揮者がよく用いるような「タメ」がほとんど見られないのですね。フレーズの終わりをきちんと納めるなどというようなチマチマしたことはせず、たたみかけるように次のフレーズを重ねてきます。これで、音楽はとてもダイナミックな生命力を持つのです。しかも、そのようにただ煽っているだけではなく、必要なところではじっくりと舐めまわすように(またエロだ)ていねいに音楽を聴かせようとします。「4番」のフィナーレに現れるフルートの細かい音符のソロが、そんなところ、ここではただの早業には終わらない、もっと落ち着いた情緒が味わえます。しかし、そんな甘い気持ちに寄っているのも束の間、やがて押し寄せるクライマックスは、まさにエクスタシーのほとばしりです。
両方の交響曲の第2楽章のような、切なくこってりと歌って欲しいところでも、この「攻め」の音楽は貫かれます。べたべた付きまとうオンナはうっとおしい、とでも言いたげ、ほんと、メランコリーを排したチャイコフスキーは、なんてカッコいいんでしょう。
あ、ジャケットの「★」は最近難易度が低すぎ。

CD Artwork © London Philharmonic Orchestra Ltd
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by jurassic_oyaji | 2012-11-11 20:42 | オーケストラ | Comments(2)
Commented by ROYCE at 2012-11-12 00:30 x
ロンドンのメジャーオケが立ち上げた自主レーベルは、ロイヤルフィルが最も早かったかもしれません。演奏内容はともかくも、激安価格ながら録音に凝っていたような気がします。
Commented by jurassic_oyaji at 2012-11-12 07:57
ROYCEさん、コメントありがとうございました。
確かに、ロイヤル・フィルというのがありましたね。でも、なんか廉価レーベルというイメージが・・・。