おやぢの部屋2
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BACH/Mattheuspassie(in Dutch)
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Marcel Beekman(Ev)
Marc Pantus(Jes)
Jos Vermunt/
Haags Matrozenkoor, Residentie Bachkoor
Residentie Orkest
DG/00289 4769164




前にオランダのレーベルでシューベルトを聴いたときに、フルートのオブリガート付きのリートを歌っていたフランシーネ・ファン・デア・ヘイデンの声が素敵でした。そこで、ほかになにか録音していないかと経歴を見てみたらすでに「マタイ」を録音しているというので、ちょっと前のアイテムですが聴いてみることにしました。ところが、手元に届いたCDを見ると、それはなんとオランダ語で歌われているものでしたよ。こんなの、だれも聴いた人はおらんだ。以前英語版を聴いて、かなりの違和感を抱いたことがありましたが、オランダ語ではいったいどういうことになるのでしょう。
そもそもこのCDは、オランダのUNIVERSALが制作した、完全なオランダ仕様、ジャケットにもブックレットにもオランダ語のテキストしか載ってません。タイトルも、もちろんオランダ語ですね。まあこのあたりはすぐ分かりますが、エヴァンゲリストが「Verteller」となっているのは、なんだかちょっと軽い感じがしませんか?
ドイツ語や英語で歌われている時には、曲がりなりにも意味が分かりますが、オランダ語になってしまえばもう全くの「知らない言葉」ですから、そこから何か意味を感じ取ることはできません。となると、完全に「音」として聴くしかなくなってくるのですが、そうするとちょっと面白いことが起こりました。その「音」が、なんだか中国語みたいなアジア系の言葉のように聴こえてくるのですね。全く勝手な思い込みかもしれませんが、エヴァンゲリストを歌っている人がかなり甲高い声なので、なおさら中国っぽく聴こえてきたのかもしれません。
そうなってくると、この中国語によるバッハ(ちがうって!)が、とても滑稽な響きで伝わってくるのですから、困ったものです。例えば、第2部の後半にある「Komm, süßes Kreuz」などというしっとりとしたバスのアリアも、「コム、クラッケンド、クルイス」と、やたらとカ行が強調された上に「クラッケン」みたいな「促音」が入って、なんだかとても明るい感じに変わってしまうのですね。どうも、バッハを歌うにはもっともふさわしくない言語なのでは、と思ってしまいます。中国語は(ちがうんですけど)。
もっとも、「明るさ」は言葉だけではなく演奏そのものにも原因があるのかもしれません。楽器はモダン楽器を使用、編成もごく普通の豊かさが得られるほどの人数が揃っていますし、合唱もかなりの人数がいるようです。それがCD2枚、約157分に収まってしまうほどの軽快なテンポで演奏をしているので、全体的になんだか重みのないものに仕上がっているという印象があります。イエスを歌っている人もかなり軽い声で、さっきのエヴァンゲリストと一緒になって、重厚とはまるで無縁のレシタティーヴォを繰り広げていますしね。
オーケストラはそこそこ力のある団体のようなのですが、合唱がかなり雑なのが、ちょっと気になります。コラールなどはピッチが決まらずになんとも幼稚な感じに聴こえてしまいますし、対位法が使われた合唱などはあちこちで崩壊していました。唯一「バラバ!」の減七の和音だけが、びっくりするようなインパクトを持っていたのが取り柄でしょうか。
さらに、ソリストたちもなんだか危なっかしい人が揃っているようですね。20番のアリアを歌っていたテノールなどはかなり悲惨、さらに、そのバックの合唱がやはり雑なんですよね。
お目当てのファン・デア・ヘイデンは、声自体はとても立派なものを持っていて何の破綻もないのですが、あまりに立派過ぎてちょっとバッハの様式からは離れているかな、という気がしてしまいます。49番のアリアでも、オブリガートのフルートは精一杯バロック風に演奏しているというのに、歌があまりにもロマンティックなのですからね。
こういうのは、やはり「珍盤」と言うべきなのでしょう。

CD Artwork © Universal Music BV, Nederland
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by jurassic_oyaji | 2012-11-13 23:21 | 合唱 | Comments(0)