おやぢの部屋2
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Christmas Choral Highlights 2012
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Bob Chilcott/
The Oxford Choir
OUP/MCDXMAS12




11月に入るか入らない頃になると、もう街はクリスマスモードに変わってしまうというのが、最近の日本での一般的な風物詩です。いくらなんでもそれは早すぎるのではないか、などと思っている人は、すでに世の中からは取り残されてしまっています。ここはどっぷりそんなお祭りに浸りきるのが、賢い生き方と言えるでしょう。そうすれば、美容室のスタイリストさんから、帰り際に「良いクリスマスを!」などと声をかけられたとしても、それを単なるマニュアル通りのあいさつではなく、もっと暖かい心のこもったものと受け取ることだってできるようになるはずです。
もちろん、そこまで覚悟を決めた人にとっては、イギリスの楽譜出版社が以前ご紹介したボブ・チルコットの作品集のサンプラーと同じ体裁でクリスマスの合唱曲を集めた「音見本」を無料で配布しているものを入手するのは、いとも自然な成り行きです。
そんなわけで、やはり「パナ・ムジカ」という楽譜屋さんが「先着300名!」と煽っていたオクスフォード・ユニバーシティ・プレスの販促グッズを、嬉々として手元に引き寄せるのでした。
前回同様、ここではボブ・チルコットが指揮をした「オクスフォード・クワイア」という、恐らくこの録音のためだけに集められたメンバーによる20人ちょっとの合唱団が演奏しています。女声は殆ど既婚者(オクサンホド・カワイイヤ)でしょうが、メンバーの名前を見てみると、前回も歌っている人が各パートに1人ぐらいずついるようですし、ソプラノにはあの「ポリフォニー」でも歌っている人の名前も見つかりました。いずれにしても、それぞれにきちんとした経歴を持っているシンガーの集まりなのでしょう。
それでも、前回はそれほど引き込まれるような合唱団ではなかったような印象があったのですが、今回はちょっと違います。それこそ、「ポリフォニー」みたいな、かなりハイテンションの歌い方で迫ってきます。まあ、曲がクリスマスがらみのものばかりですから、やはり張り切ってお祝いしよう、ということなのでしょうか。
ここでは、全部で17曲が歌われています。しかし、それらはほとんど知らないものばかり、作曲家の名前も、指揮をしているチルコットと、例によってプロデュースを手掛けている(今回は録音は自分ではやっていないようです)ジョン・ラッターしか、聞いたことのあるものはありません。しかし、何も心配はいりません。それぞれに2、3分の曲は、みんなとても親しみやすく、全く構えることなく、素直に心に入ってくるものばかりなのですからね。恐らく、これらの曲の大部分は、演奏会で「聴かせる」ために作られたものではなく、教会で礼拝の時に「歌う」ために作られたものなのでしょう。それは、音楽的に技巧を凝らすことよりは拙いなりにも自分で「参加」出来るような懐の深さが感じられるものです。合唱音楽が生活の中に自然に入ってきているイギリスならではのことですね。
伴奏が、ほぼ1曲おきにオルガンとピアノの二本立てというのも、変化があっていいものです。特にオルガンの録音が非常に素晴らしいことも、このアルバムの魅力を高めています。
ちょっと気にかかったのが、マルコム・アーチャーという1952年生まれの教会音楽作曲家の「When Christ was born of Mary free」という曲。7拍子という変拍子なのにとてもキャッチーなテーマが、何回も繰り返すたびにどんどん深みを増していく作品です。
最後の2曲は、このセッションではなく、ラッターが自分の合唱団と録音した以前のクリスマスCDCOLLEGIUM/COLCD 133)からコンパイルされたものです。最後のオーケストラも入って派手に盛り上がる「Esta Noche」という曲には「ラッター作曲」みたいなクレジットがありますが、これはトラディショナルをラッターが編曲したものでした。これだけ、ちょっと毛色が違ってますが、アルバム全体の心地よさを損なうほどのものではありません。

CD Artwork © Oxford University Press
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by jurassic_oyaji | 2012-11-19 20:32 | 合唱 | Comments(0)