おやぢの部屋2
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DEBUSSY/Orchestral Works
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Jos van Immerseel/
Anima Eterna Brugge
ZIG-ZAG/ZZT313




1987年にジョス・ファン・インマゼールによって創設された「アニマ・エテルナ」は、今年創立25周年を迎えることになりました。初めて知ったのですが、この名前は創設者インマゼール(Immerseel)の名前を、ラテン語に訳したものだったんですってね。Immer=eterna(永遠の)、Seel=anima(魂)ということになるのでしょうか。そうなると、この団体はまさにインマゼールあってのユニットなわけですから、単独でほかの指揮者とコンサートやレコーディングを行うことはできないのでしょうね。「ヴァン・ヘイレン」や「ボン・ジョビ」みたいなものでしょうか。
しかし、かつてCHANNELレーベルでインマゼールのフォルテピアノの伴奏をしていたころは、ごく普通のピリオド・オケだったものが、今ではインマゼールは専業指揮、守備範囲もロマン派まで広がっていたな、と思っていたらもはやこんな印象派まで手掛けるようになっていたとは。
もちろん、時代が変わっても、「その当時演奏されたのと同じもの」を目指すというコンセプトには変わりはありません。今回のドビュッシーでも、そんな、19世紀と20世紀をまたぐ頃にフランスで使われたであろう楽器が使われています。もちろん弦楽器はすべてガット弦を使用、ハープは「エラール」、チェレスタは「ミュステル」と、メーカーまでしっかりクレジットされていますよ。
さらに、弦楽器のサイズでも、ファースト・ヴァイオリンとセカンド・ヴァイオリンがともに「12人」で演奏されているのも、ドビュッシーの指定にしっかり従ったものになっています。ここでの曲目「映像」の中の「イベリア」では、その真ん中の「夜の薫り」という部分で弦楽器が細かく分かれている(ディヴィジ)のですが、そこをドビュッシーはしっかり12人分のパートを指定しているのですね。「幻想」あたりではヴァイオリンは10人以下で済ませていましたが、ここでは最低12人はいないことには、楽譜通りの音が出てこないのですから、仕方がありません。ついでに、その「映像」の曲順も、通常の「ジーグ」、「イベリア」、「春のロンド」ではなく、「春のロンド」、「ジーグ」、「イベリア」という、作曲者の死後、1922年にアンドレ・カプレが演奏した時に採用した順番になっています。カプレはドビュッシーと親密な関係にあった人ですから、この曲順にはおそらく作曲家の意向が反映されているのでは、というのと、この方がより音楽的だというのが、インマゼールの主張です。
最初に演奏されているのは、「牧神の午後への前奏曲」です。フルート・ソロはかなり渋い音色、現代のコンサートではかなり目立って聴こえてくるはずのものが、ずいぶん奥まった感じになっていて、ほかの楽器が入ってくると、このフルートは完全に目立たなくなってしまいます。というよりは、この録音ではあえてドビュッシーが用いたすべての楽器がきちんと聴こえてくるようなバランスにしたのでは、と思えるほど、普通はあまり気にならないフレーズや音色が印象深く伝わってきます。これは、ちょっとすごい録音ですよ(「TRITONUS」が手がけたものです)。そこからは、ドビュッシーのまさに天才的なオーケストレーションの極意が、透けて見えるようです。特に、打楽器のほんのちょっとした扱いが全体の響きにもたらす影響は絶大であることがはっきりわかります。有名なのは、最後に現れるサンバル・アンティークでしょうが、それ以外にも「隠し味」は数知れず、ドビュッシーの魔術に酔いしれるひと時でした。
続く「海」と「映像」という大曲も、そのような感覚的な魅力は満載です。やはり、チェレスタはミュステルに限ります(今はもう製造されていません。見捨てるには惜しい楽器です)。しかし、何か流れに背いたフレーズの作り方とか、ほとんど生気が感じられない「イベリア」とか、いつもながらインマゼールの指揮ぶりにはがっかりさせられてしまいます。

CD Artwork © Outhere Music France
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by jurassic_oyaji | 2012-11-21 20:40 | オーケストラ | Comments(0)