おやぢの部屋2
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最新クラシックのSACDカタログ&ガイドブック
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レコード芸術&Stereo
音楽之友社刊(
ONTOMO MOOK
ISBN978-4-276-96223-1



2000年頃に日本のソニーとオランダのフィリップスによって共同で開発された、それまでのCDよりもはるかに広いダイナミック・レンジと周波数レンジを持つ新しい音楽メディアSACD(言うまでもなく、「Super Audio Compact Disc」の略称、「Sex And the City DVD」ではありません)は、その2つのメーカーの主導で華々しくデビューを飾り、SONYUNIVERSALのレーベルから一時期かなりの数のアイテムがリリースされました。しかし、ほどなくして、そのようなメジャー・レーベルは、ぱったりとSACDに対しての興味を失ってしまいます。CDというフォーマットはすでに音楽再生の媒体としてはすっかり成熟していましたから、少しぐらい音がよくなったとしても、CDとの互換性のない製品のために消費者がそれ以上の投資をすることは期待出来なかったのでしょうね。
ただ、そんな中にあって、外国のマイナー・レーベルでは、しっかりその可能性を認めて、細々とSACDをリリースしてくれていました。さらに、その頃相次いで創設されたオーケストラの自主レーベルが、多くのところで最初からSACDを採用していたことも、見逃すわけにはいきません。
一方、日本国内では、一部のマイナー・レーベル以外ではほとんど黙殺されていたSACDですが、さるオーディオ・メーカーが、メジャー・レーベルの音源の積極的なSACD化を進め、2009年には、なんとあのDECCAの古典的な名録音、ショルティの「指環」全曲をSACD化するという偉業(当時は、誰しもそう信じていました)を成し遂げました。そこで、一気にオーディオ・ファンを中心にSACDへの熱が高まり、それまでの、CDも同時に演奏できる2層のハイブリッド・タイプだけではなく、SACDのみのシングル・レイヤー・タイプが、メジャー・レーベルから大量にリリースされるようになったのです。
そんな流れに乗って、こんなムックが発売されました。まさに格好のタイミングで、誰もが求めていた「ガイドブック」が出た、と喜ぶべきなのでしょう。
ところが、今までにリリースされたSACD全体の中では、国内で作られたものなどほんのわずかしかないというのに、このムックでは「国内盤」、つまり、国内のメーカーが製造したものか、外国で作られたものを日本向けに品番を変えて販売したものだけしか扱わないという、なんとも不思議なことが行われています。つまり、このページでも頻繁にご紹介してきた「2L」、「BIS」、「CHALLENGE」、「CHANNEL」、「DA CAPO」、「LINN」、「LSO」、「PENTATONE」、「RCO」・・・といった、SACDを語る上では欠かすことのできないレーベルの製品については、一部の国内仕様品を除いては全く触れられていないのです。これは、「片手落ち」などというハンパなものではなく、ほとんど「手足をもがれた」状態に等しいのですよ。一体、これを編集した人たちは、本気でSACDの「ガイド」を作ろうと思っていたのでしょうか。
ただ、彼らが国内盤を偏愛している理由については、思い当たらないわけでもありません。国内盤のSACDというのは、輸入盤に比べると価格が異常に高いのですね。例えば、EMIのハイブリッド盤などは、全く同じ曲目でマスターも全く同じものが輸入盤では国内盤の四分の一の価格で購入できますし、ほとんどが国内盤でしか手に入らないシングル・レイヤーのSACDに至っては、1枚4500円という、ベラボーな価格設定なのです。お分かりでしょう?そんなぼったくりに、利益を共有するこのお粗末なジャーナリズムが加担しないわけがないのですよ。
お粗末なのは、原稿を寄せている「センセー」方も同じことです。「当初から、デジタル・サウンドは、最低でもSACDの規格以上のものがタタキ台になってほしかった」などと、バカなことを口走っている人に、「デジタル・サウンド」を語る資格はありません。そもそも、CDが出来た「当初」には、SACD並みの規格など、どこにも存在していませんでしたし、その頃の「評論家」はこぞってCDの音質を褒めそやしていたのですからね。

Book Artwork © Ongaku no Tomo Sha Corp
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by jurassic_oyaji | 2012-11-25 20:08 | 書籍 | Comments(2)
Commented by ま~さん at 2012-11-27 19:16 x
全く同感です。私も愛聴している」、「BIS」、「CHANNEL」、「LINN」、「LSO」、「PENTATONE」が一部を除いて無視されているというのは、本当に馬鹿げた話です。「センセー」方もメーカーと音友にゴマをすって、今後の姑息な計算をしているのでしょう。
Commented by jurassic_oyaji at 2012-11-28 00:22
ま~さん、コメントありがとうございました。
しかも、カタログにはとっくに廃盤になっている初期のソニーやユニバーサルのSACDまで含まれていますからね。