おやぢの部屋2
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SCHUBERT/Complete Symphonies
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Marc Minkowski/
Les Musiciens du Louvre Grenoble
NAÏVE/V 5299




シューベルトの交響曲に関しては、いまだに「番号」の件が解決していません。ぜひ、早いとこなんとかしてほしいです(それは「願望」)。未完の作品の扱いで様々な意見があるのがその原因ですが、これに関して最も権威のある「国際シューベルト協会」では「交響曲は全部で8曲」と主張し、その主張に基づいて新全集を刊行しているベーレンライター社の楽譜でも、最後の交響曲、いわゆる「グレート」は、「Sinfonie Nr.8 in C」というタイトルになっています。したがって、その前の「未完成」は今まで「8番」だったものが一つ繰り下がって「7番」と呼ばれることが「正しい」ことになったのですね。
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ところが、世の中には今までなじんできたものを簡単に変えられては困る、と言い出す人はいくらでもいます。その最たるものが、原子力発電所ではないでしょうか。一度事故を起こせばどれだけの被害を与えるかを目の当たりにし、もうこんなものは必要ないのだ、という「正しい」世論が形成されたにもかかわらず、いまだにその存続に固執している「間違った」人たちは数知れないのですからね。
音楽の世界でも、「昔覚えたものだから、今更変えられても困る」といった単なる郷愁だけではなく、例えば楽譜やCDのタイトルの変更には莫大の資金が必要だという「業界団体からの圧力」もあって、「正しい」作品番号がなかなか浸透しないという現実があります。モーツァルトのケッヘル番号も、「間違った」初版の番号は、おそらくこれからも使われ続けることでしょう。本当に困るのは、メンデルスゾーンの交響曲の番号です。現在「5番」と呼ばれて、さも最後の交響曲のような顔をしている「宗教改革」は、「正しく」は5曲の中では2番目に作られたものですし、本当に最後に作られたものは「3番」と呼ばれている「スコットランド」なのですからね。日本の原発がすべて無くなる日は来ても(きっとそうなると信じたいもの)、メンデルスゾーンの交響曲が「正しい」番号で呼ばれることは、永遠にないのかもしれません。
ですから、ミンコフスキが新しく録音したシューベルトの交響曲全集でも、「未完成」は「7(8)番」、「グレート」は「8(9)番」と、カッコつきで「間違った」番号を表記することで、何とか折り合いを付けようとしています。これが大人の対応というものなのでしょう。
これは、2012年の3月にウィーンのコンツェルトハウスで行われた全曲演奏会でのライブ録音です。オーストリア放送協会が録音したもので、録音スタッフには放送局の職員の名前があります。放送用のためなのか、あのだだっ広い会場で録音されたからなのかは分かりませんが、なんとも平凡な音でしかないのには、がっかりさせられます。このところ、よい録音のものばかり聴いていた反動なのでしょうが、ガット弦の高音の柔らかさがまるで聴こえてこないのでは、ちょっと辛くなってしまいます。
ミンコフスキのアプローチは、初期の作品と後期の作品との違いをことさら強調しているように感じられます。1、2、3番の終楽章などは、異様とも思えるほどの快速で飛ばすことによって、これらの作品がハイドンやモーツァルトといった先人たちの様式をきっちり踏襲していることを思い起こさせてくれます。しかし、「未完成」や「グレート」では、なんとも堂々としたたたずまいで、別格の音楽であることを教えてくれているようです。
特に「グレート」では、編成も少し増員して、厚みのある音を目指しています。弦楽器だけではなく、木管楽器はそれぞれ1人ずつ増員して「3管」になっています。さすがに「倍管」では多すぎるとの判断で、こんな中途半端なことになったのでしょうが、前列(高音)のフルートとオーボエは1番、後列(低音)のクラリネットとファゴットは2番を重ねることで、バランスをとっているのでしょう。
第3楽章のトリオでの伸び伸びとした演奏が、とても印象的です。

CD Artwork c Naïve
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by jurassic_oyaji | 2012-12-09 20:52 | オーケストラ | Comments(0)