おやぢの部屋2
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DURUFLÉ/Requiem
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Christine Rice(MS), Mark Stone(Bar)
Guy Johnston(Vc), Tristan Mitchard(Org)
David Crown/
The Choir of Somerville College, Oxford
STONE/5060192780208




2011年7月に録音された、一番新しいデュリュフレの「レクイエム」です。バージョンはオルガンと一部(Pie Jesu)チェロ伴奏の「第2稿」です。イギリスの「Stone Records」という、全く聞いたことのないレーベルからリリースされたものです。
ジャケットは、第二次世界大戦の空襲で廃墟と化したドレスデンのモノクロの写真、いかにも「レクイエム」らしいインパクトのあるものだな、と思って、表紙をめくると、そこには短パンにタンクトップというあられもない姿であぐらをかいているピチピチギャル(死語)の写真が現れます。その、あまりの落差には戸惑うばかり。なんだかわけのわからないアルバムです。
そのギャルたちは、もちろん合唱団のメンバー、オクスフォードのサマーヴィル・カレッジの聖歌隊の人たちです。暑かったので、軽くいっぱい、でしょうか(それは「サマービール」)。最近まではこのカレッジは女子しかいなかったそうで、ギャルの後ろには男子もなんだか居心地悪そうに座っています。まあ、そんなお行儀の悪い写真でも、それはいかにも最近の若者らしい、何の憂いもなく明るく人生を送っているという感じがよく出ていて、別に不快ではありません。いくら「レクイエム」を歌うからと言っても、別にお客さんの前ではなくスタッフ以外の誰もいない教会の中ですから、改まって喪服を着る必要など、さらさらありませんからね。いや、やはりこういう曲であっても、基本的に音楽というものは自分をさらけ出すものですから、7月の暑いさなかには、このぐらいくだけていても何の問題もありません。
イギリスの大学のカレッジにはどのぐらいの聖歌隊があるのかは分かりませんが、このオクスフォードやケンブリッジのカレッジから出てきた「コラリアーズ」たちは、まさにイギリスの合唱界の裾野となっている存在です。サマーヴィル・カレッジの場合は、トレブルのパートは少年ではなくさっきのギャルが担当している、ごく普通の混声合唱団ですが、そのような「伝統」はどのように受け継がれているのでしょう。
そのようなちょっとした「期待」を持って聴き始めると、このあまりに成熟度の低い合唱には、心底がっかりさせられてしまいます。とりあえずきちんとハーモニーは聴かせられるし、テンポもキープできてはいるので、かろうじて「合唱」の外観だけは保っているのですが、素材としての「声」があまりにもお粗末なのですね。特に男声が、全く張りのないだらしない声なのが、致命的です。この曲ではテナーのパート・ソロが随所に出てきますが、それらがこの覇気のないいい加減が声で歌われるのを聴くのは、ほとんど拷問に近いものがあります。さらに、トゥッティになった時の秩序のなさは、まさに忍耐の限界を超えるものです。メンバー全員が、自分の声に何の責任も持たずに勝手気ままに大声を出すとどれだけ醜い響きになるかという、またとない見本です。
こういう合唱を聴くと、逆にデュリュフレを歌うにはどれほどのスキルが必要なのかを知ることが出来ます。身内で楽しむのならともかく、他人に聴かせるためにCDなどにすることは決して許されない演奏であることを、ここからは知ることが出来るでしょう。
合唱がこんなにひどいのに、ソリストたちがそれぞれ立派な声で頑張っているというのが、不思議です。バリトンのストーンさん(レーベルのオーナー?)はとても深い声で的確な表現を見せてくれますし、メゾのライスさんはこの曲にはもったいないほどのスケールの大きな歌を聴かせてくれています。
もう1曲、ロビン・ミルフォードというイギリスの作曲家が1947年に作った「5声のミサ」という、オーソドックスなスタイルの、殆どア・カペラで歌われる曲も収録されています。この曲を「美しい」と感じさせるだけのスキルも、やはりこの合唱団にはありません。

CD Artwork © Stone Records Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2012-12-13 20:33 | 合唱 | Comments(0)