おやぢの部屋2
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DVORÁK/Symphony No.9, Cello Concerto
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Mario Brunello(Vc)
Antonio Pappano/
Orchestra dell'Accademia Nazionale di Santa Cecilia - Roma
EMI/914102 2




「新世界」と「ドボコン」のカップリング(2枚組)なんて、普通はまず買うことはないのですが、通販サイトのインフォメーションに「協奏曲はオリジナル版」などという言葉があったものですから、「版マニア」としては手を出さないわけにはいかなくなってしまいます。ところが、現物のCDのパッケージでは、「版」に関しては何のコメントもありませんでした。なんだか、騙されたような気分です。実際に聴いてみても、特に今までのものと変わっているところはないように感じましたしね。まあ、単に耳が悪いだけの事なのかもしれませんが。
この2曲は、日にちは違いますが、いずれもコンサートのライブ録音です。ここで演奏しているローマの聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団は、2002年にローマに新しくオープンしたホールを本拠地にして、演奏会を行っています。それは、巨大な野外劇場のまわりに3つのコンサートホールが立ち並ぶというローマの新名所、「アウディトリウム・パルコ・デッラ・ムジカ(オーディトリアム音楽公園)」の中の、2800人収容のワインヤード型のホール「サラ・サンタ・チェチーリア」です。ちなみに、ほかの2つは、1200人収容のシューボックス型の「サラ・シノーポリ」と、700人収容の小ホール「サラ・ペトラッシ」です。「ペトラッシ」は、フラダンスを踊る犬(それは「パトラッシュ」)ではなく、イタリアの作曲家の名前ですし、「シノーポリ」はあの夭折した指揮者のことでしょう。
そんな、だだっ広いホールで録音したからでしょうか、あるいは、これが放送局(RAI)によって録音されたものだからでしょうか、どちらの曲もなんともお粗末な音に仕上がっているのが、「オリジナル版」云々の無責任なコメントよりも腹が立ちます。弦楽器の高音の艶が、まるで失われていますし、金管がフォルティッシモになったところでのとても乾いた精彩のない音色はいったい何なのでしょう。しかも、客席がやたらとやかましいのですね。日本のコンサートではとても考えられないような、演奏中の派手な咳払いや話し声がもろに聴こえてくるのですから、ひどいものです。終わってからの拍手と、ちょっと品のない歓声までも、カットされずにしっかり入っていますしね。最近DGが進めているモーツァルトのオペラ全集も、やはり経費の関係でライブ録音を行っていますが、このコンサートでは、前もってできるだけ咳払いなどはしないようにとお客さんにお願いしていたそうです(拍手は編集でカットしてあります)。少なくとも、「商品」としてCDを作るのなら、こんなただの放送音源の使いまわしではなく、そのぐらいの配慮を見せることが、「良心」というものなのではないでしょうか。というか、今や実体を失ってしまったEMIには、とてもそんなところまで気を遣う余裕などはなくなってしまっているのでしょう。この老舗レーベルが、ここまでおちぶれるとは。
でも、演奏しているパッパーノたちには、それは何の責任もないことです。まずは、パッパーノにとっては初録音と言われている「新世界」では、この手垢のついた「名曲」をいとも颯爽とさばいている姿が気持ちよく感じられます。第1楽章の91小節から始まる木管の「ソ・シ♭・シ♭ラ・ソ/ラドドラ・ドー」という素朴なテーマは、そのあと第2ヴァイオリンで同じ音型が繰り返されますが、その表情が全然違っているのも、かなり目新しい演奏です。実は楽譜では確かにスラーの付け方が全然違っているのですが、ほとんどの人が慣習的に同じスラーで演奏していますからね。この楽章の最後の「巻き」も、ハッとさせられます。
チェロ協奏曲では、ライブならではのソリストの熱演が光ります。まあ、こんなハイテンションの演奏が聴けるのがライブ録音の醍醐味なのでしょうから、そう思って我慢することにしましょうか。

CD Artwork © EMI Records Ltd.
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by jurassic_oyaji | 2012-12-19 20:44 | オーケストラ | Comments(0)