おやぢの部屋2
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MAHLER/Symphonie Nr.8
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9 Soloists
Markus Stenz/
Mädchen und Knaben der Chöre am Kölner Dom
Chor des Bach-Vereins Köln, Domkantorei Köln etc.
Gürzenich-Orchester Köln
OEHMS/OC 653(hybrid SACD)




マルクス・シュテンツとケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団とのマーラー・ツィクルス、交響曲としてはこれが6枚目となるのでしょうか。この曲は何しろ編成が大規模で合唱やソリストも大人数が必要とされていますから、そう簡単に演奏するわけにはいきません。そこで、何か特別の機会で演奏されたものを録音するしかないのでしょう。そんな「機会」というのが、このオーケストラの本拠地、ケルンの「フィルハーモニー」が1986年の9月にオープンしてから25年経ったお祝いのコンサートでした。
そんなわけで、2011年の9月に行われた「記念演奏会」では、ステージとその後ろの客席いっぱいに演奏者が並ぶことになりました。写真を見てみるとコントラバスが管楽器の後ろに横一列になって10本あることが分かりますから、恐らく「18型」の弦楽器の編成なのでしょう。ソリストもオーケストラの後ろに8人並んでいます。ん?8人?この曲は、楽譜の指定ではソリストは「全部で8人」必要なはず、そのうちの1人のソプラノは「栄光の聖母」という役で第2部の最後だけ、普通は客席のバルコニーあたりで歌いますから、ステージ上には「7人」しかいないはずなのですが。
クレジットを見ると、2人目のソプラノ、オルラ・ボイランには、第2部での役が与えられておらず、第2ソプラノが歌うことになっている「懺悔する女」役は、3人目のソプラノ、クリスティアーネ・エルツェになっています。実際の演奏では、恐らく第1部の第2ソプラノなどはボイランが歌って、エルツェはあくまで「懺悔する女」のパートだけに専念しているのでしょう。このマーラー・ツィクルスではすべての曲でソプラノ・パートを歌っているエルツェは、確かにこの「かつてグレートヒェンと呼ばれていた女」にふさわしい清楚な声をしていますから、この役にはうってつけなのですが、それ以外の第2ソプラノのパートではもっと強靭な声が求められているような気がします。そのために、シュテンツはあえてここを「ダブル・キャスト」にしたのではないでしょうか。ここでのボイランはかなり悲惨な歌い方ですので、結果的には成功しているとは言えませんが、試みとしてはおもしろいところです。もちろん、こんな措置を取った演奏は初めて聴きました。そのほかのソリストでは、バスのギュンター・グロイスベックが素敵でした。テノールのブランドン・ジョヴァノヴィチはいまう゛ぃち(いまいち)。
そんな「9人」のソリストの名前や、本当は6つの団体が集まっている合唱団のすべての名前などは、とてもここには収められませんから、ほとんど割愛しています。しかし、代理店の「帯」ではそうもいきませんから、例によってこんな小さな文字の「力技」で全部のメンバーを収めています。ご苦労さんとしか言いようがありません。
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ところが、この小さい字をよく見てみると合唱団が一つ足りません。「Kartäuserkantorei Köln」という団体ですね。日本語だと「ケルン・カルトジオ=カントライ」でしょうか。これだけ入れるには、もっとポイントを下げなければいけませんから、カットしたのでしょう。ヴァルヒャの時はもっと小さな字を平気で使っていたのに、変なところで気を使ったものです。
演奏は、さっきのソプラノの扱いにもみられるように、とても細かいところまで行き届いた素晴らしいものでした。第1部で合唱が終わってオーケストラだけになる部分の直前でのフェルマータの異常な長さには驚かされますが、確かにこの場面転換にはそれだけの時間が必要なのかもしれません。そして、何よりも素晴らしいのが録音です。SACDの特性をフルに使いきった精緻極まりない音、そこにはアナログ録音にも迫る瑞々しさと、アナログ録音を超えたダイナミック・レンジがあります。前に聴いた「2番」と同じ録音スタッフですが、聴こえてきた音は雲泥の差です。

SACD Artwork © OehmsClassics Musikproduktion GmbH
by jurassic_oyaji | 2012-12-21 20:52 | オーケストラ | Comments(0)