おやぢの部屋2
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MOZART/Le Nozze di Figaro






Peter Sellars(Dir)
Craig Smith/
Arnold-Schönberg-Chor
Wiener Symphoniker
DECCA/071 4129(DVD)



ピーター・セラーズのプロダクション、最後にご紹介するのが「フィガロ」になってしまいました。今回の舞台は、ニューヨークの5番街にそびえ立つ「トランプタワー」です。日本でいえば「六本木ヒルズ」でしょうか、本当のお金持ちだけが住むことを許される高級マンション、その最上階、屋外テラス付きの一角が、アルマヴィーヴァの「お屋敷」です。そんな固有名詞は、序曲の部分で流れるフィルム画面(幕が開くとビデオの画面になります)でニューヨークの街中が流れ、その中でひときわ目立つあの全面ガラス張りの建物が出てきますから、すぐ分かります。ご存じでしょう?あの、女性下着の形をした(それは「トリンプタワー」)。これは、他の作品での荒廃したスラム(「ドン・ジョヴァンニ」)と、リゾート地のビーチ(「コシ・ファン・トゥッテ」)と同じように、その舞台となった場所の現地を撮影したもの、モーツァルトを「現代」に置き換えるためのパイプの役割を果たしています。
この「ダ・ポンテ三部作」、ほぼ同じ時期に収録されたものでしょうから、この「フィガロ」と、「コシ」で、キャストが交錯しているのが面白いところです。なんか、昼メロ(ニューヨークだと「ソープオペラ」)で、同じ役者が別のドラマに別の役で出ているような感じです。そもそもこのシリーズの歌手たちは、実力的には小粒、中にはとても使い物にはならないような貧弱な声の持ち主も混ざっているのは、声よりも演技を取った、セラーズの人選によるものなのでしょうか。そんな中で、最も安定した力を発揮していたのがフィガロ役のスタンフォード・シルヴァンですが、「コシ」ではドン・アルフォンソでしたね。 そんな風に、ケルビーノはフィオルディリージ、伯爵がグリエルモ、そしてなんと、マルチェリーナ役の人がデスピーナをやっていたのですから、すごいですね。もちろん、デスピーナは年増の若作りという完全なミスキャストですが、案外そこがねらいだったのかも。そういえば、スザンナ役の人もかなり高齢、第4幕でコンテッサに変装してしまうと、とてつもなくグロテスクでしたから、やはりこのあたりにはセラーズの意図が入っていると考えた方が良いのでしょう。
この作品の場合、時代設定こそぶっ飛んでいますが、その他のキャラクター設定は至って普通、スザンナはメイドですし、フィガロは執事みたいなものでしょうか。舞台装置も、他の2作のように最初から最後まで同じ場所を使うということはせず、しっかり幕ごとに原作通りの場所が用意されています。やはり「フィガロ」では大幅な読み替えは難しいのでしょうね。それだけではなく、ダ・ポンテが仕込んだ「毒」は当時の貴族階級にこそ最大の効き目があるように処方されていたものなのでしょうから、それをただ現代に移しただけではなんの力も持たなくなってしまいます。その意味で、この作品におけるセラーズのプランは、ややインパクトに欠けるという印象は免れません。合唱などは、演出の意図が徹底されなくてちょっと棒立ちの場面もありますし。
そうなってくると、音楽的な弱さがもろに前面に出てきてしまって、ちょっと辛い場面も。アントニオ役のように、芝居でも過剰に浮いている上に、歌もお粗末という人も現れて、最後まで緊張して見るというわけにはいきませんでした。
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by jurassic_oyaji | 2005-05-28 22:22 | オペラ | Comments(2)
Commented by トランタンネットワーク新聞社 at 2005-05-30 20:26 x
この夏「0歳児でもO.K. お子様と楽しめるクラシックコンサート」を主催するトランタンネットワーク新聞社です。
このコンサートをインターネットを通じて、広げられたらと思い、ネット検索をし、こちらのページにたどり着きました。
もし、こうしたコンサートにご興味あればと思い、詳細を貼らせていただきます。

http://www.30ans.com/
↑HP中央にコンサートの詳細情報がございます。
また、スクロールしていただきますと、いちばん下に、弊社HP「トランタン丸」と、今回のコンサートのバナーもございます。ぜひ一度、トランタン丸HPに遊びに来てください。
お待ちしております。
コメントを残したことがご迷惑でなければよいのですが。
よろしくお願いいたします。
Commented by jurassic_oyaji at 2005-05-30 21:36
シュルツのコンサートがあったのですね。
情報源としてお役に立つのであれば、どうぞご利用下さい。