おやぢの部屋2
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LIGETI/Atmosphères
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V.A.
DG/479 0567




20世紀に初演された曲をDGDECCAの音源を使って作曲家ごとに集めたコンピレーション・シリーズ「20C」の最新リリース分の中に、リゲティがありました。タイトルは「アトモスフェール」、確かに、このレーベルにはだいぶ前にこの曲をアバドが録音していましたね。
このシリーズのジャケットには、それぞれその作曲家をイメージするようなものがデザインされていますが、リゲティの場合は「人工衛星」でした。クリーンなイメージでしょうか(それは「人工衛生」)。いや、もはや、この作曲家は、あの宇宙を舞台にした映画「2001:A Space Odyssey」抜きには語ることは出来なくなってしまっているのでしょうね。もちろん、このアルバムにも、そのサントラを飾った「アトモスフェール」と「ルクス・エテルナ」はしっかり収録されています。
サントラと言えば、この映画のサントラ盤に関しては、以前にこんなエッセイを作っていました。
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最初に公式サントラとしてMGM(現在はUNIVERSAL)から出たアルバムには、権利の関係でしょうか、映画の中で使われたものとは別の演奏家のものが収録されていて、顰蹙を買ったものでした。その悪行の最たるものは、タイトルテーマの「ツァラツゥストラのファンファーレ」を、オリジナルのカラヤン盤(DECCA)を使うことが出来なかったために、ベーム盤(DG)に差し替えてしまったことでしょうか。そのために、現在でもなおあのファンファーレはベームとベルリン・フィルによって録音されたものだと公言している人はあとを絶ちません。さらに、このサントラ盤では、「ルクス・エテルナ」も、最初にLPでリリースされた時にはきちんとオリジナルのクリトゥス・ゴットヴァルトの演奏を使っていたのに、CD化の際に「CDに使用するには耐えられないほどの音のひずみがある」という理由で、ヘルムート・フランツ指揮の音源に差し替えられていました。
後に、現在ではSONYからリイシューになっているきちんとしたサントラ盤が登場します。
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ここでは、もちろん「ツァラ」はカラヤンとウィーン・フィルのバージョン、「ルクス・エテルナ」もオリジナルのゴットヴァルト盤が、映画に用いられた部分と、最初のMGMLPに入っていた「フル・レングス」バージョンの2種類がしっかり収められています。ただ、これをそもそもの音源であるWERGO盤と比べてみると3分以上短くなっていましたね。実際には、この曲は全部で126小節あるうちの80小節目以降がバッサリとカットされています。79小節目は「モレンド」で一旦音がなくなりますから、それで終わったのだと勘違いしたのでしょう。「現代音楽」にはよくあることです。
今回のコンピに入っていたのは、このサントラCDの差し替え用に使われたフランツと北ドイツ放送合唱団の録音です。映画のイメージとは見事に合致していたゴットヴァルト盤とは全く異なるすっきりした演奏、おそらく、最初にサントラCDを聴いた人は、映画の中の曲とは別のものだと感じたのではないでしょうか。余談ですが、この曲は最初から最後までbpm=564/4拍子でテンポは変わりませんから、楽譜通りに演奏すると126小節ではちょうど9分かかることになります(ぴったり9分で終わらせるために、最後に「tacet」の7小節が付いています。ここでは、指揮者はちょうど30秒間何も音がないところで指揮を続けるのでしょう。究極の「エアコン」ですね)。
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同じように、アバドとウィーン・フィルが1988年に録音した「アトモスフェール」も、エルネスト・ブール指揮の南西ドイツ放送響によるサントラとは全然異なる肌触りでした。何よりも、ウィーン・フィルの音が美しすぎます。どんな無茶なクラスターを弾かされても、彼らは決して自分たちの音楽を曲げることはしていないところにいたく感動してしまいました。
つまり、ここで聴けるリゲティは「2001」の中のリゲティとはまるで別物、だから、ジャケットに人工衛星を使ったりしてはいけないのですよ。

CD Artwork © Deutsche Grammophon GmbH
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by jurassic_oyaji | 2013-01-12 23:00 | 現代音楽 | Comments(0)