おやぢの部屋2
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Gloria in excelsis Deo
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Sky du Mont(Narr)
Ulfert Smidt(Org)
Jörg Breiding/
Knabenchor Hannover
RONDEAU/ROP7011




タイトルの「グロ~~~リア・イン・エクシェルシル・デ~オ」というのは、ご存じクリスマスには必ずどこからか聴こえてくる有名な讃美歌の一節ですね。この部分はミサの通常文からとられたラテン語ですが、曲は確か「荒野(あらの)の果てに」とかいったはずです。ちょっと気のきいた人だったら、このサビの部分を二部合唱にして歌ったりしていたことでしょう。
なんで今頃クリスマス?でしょうが。これはハノーファー少年合唱団がおととしのクリスマス、というか、その1ヶ月前から延々と続く「アドヴェント」の期間に行われたコンサートで演奏したものを、CDのために去年の1月にもう一度演奏して録音したものなのです。だから、1月に聴いても問題なんかありません。
1929年生まれのハノーファー在住の作曲家、ジークフリート・シュトローバッハという人が、このコンサートのために作った一連のクリスマス・キャロルのコンピレーションが、この「Gloria in excelsis Deo」です。もちろん、その辺の出来合いの寄せ集めでしかないコンピレーションCDのような志の低いものではなく、これはかなり手のかかった、それ自体が「作品」と言えるようなものでした。全体は「アドヴェント」、「聖マリア」、「キリストの誕生」、「牧人」、「どこでもクリスマス」という5つのテーマにそって進行、古今東西のクリスマス・キャロルを編曲したものばかりではなく、シュトローバッハ自身のオリジナル曲も入っています。合唱だけではなく、オルガンの伴奏やソロも交えて、バラエティを持たせることも忘れてはいません。極め付きは、曲の間に入る、スカイ・ダモントという渋い声の俳優(キューブリックの「アイズ・ワイド・シャット」に出演していたそうですが、写真を見ても思い出せません)による、聖書からのクリスマスの物語の朗読です。これがまるで受難曲のエヴァンゲリストのように聴こえます。
この合唱団は「少年合唱団」とは言っても、テナーとバスのパートには「青年」やかなり高年齢の「大人」まで加わっていますから、いわゆる「児童合唱」に見られるような不安定なところは全くありません。大人の声もとても若々しく、少年の声とよく混ざって柔らかい響きを醸し出しています。たまに団員によるソロも現れますが、これもとても安定した声で楽しめます。
そんな、ハイレベルの合唱に対して、シュトローバッハの編曲もなかなか手の込んだところを見せてくれます。例えば、最初のキャロル「Macht hoch die Tür」では1回目はとてもきれいなユニゾンでシンプルに歌われたものが、2回目では見事なハーモニーが加わったものが聴かれます。3回目ではさらに趣を変えて、ソプラノパートがキャロルとは全く別のオブリガートを聴かせてくれますよ。
「マリア」の中では当然登場する「アヴェ・マリア」と「マニフィカート」はシュトローバッハ渾身のオリジナル作品です。「アヴェ・マリア」では、テノール・ソロがプレーン・チャント風のナレーションを歌う中、ソプラノ・ソロとメゾ・ソプラノ・ソロのデュエットが聖母マリアと天使ガブリエリの対話を歌います。そのバックにはもちろん「Ave Maria」のテキストによる美しい合唱が流れているという、見事な構成です。
「マニフィカート」は、このアルバム中最も長大な作品となりました。これはじっくり聴いてみてちょうだい。二重合唱によって歌い交わされるポリフォニーには、圧倒されますよ。
後半の「牧人」あたりからは、タイトルの「荒野の果てに」などの聴き慣れたキャロルが目白押し、それぞれが、ユニークなオルガンのイントロや、ていねいなコーラス・アレンジで、とても聴きごたえのあるものになっています。
ザルツブルク発のキャロル「Still, weil's Kindlein schlafen will」でソロを歌っているレナート・イーバーハイムというボーイソプラノの歌はすごすぎ、あのボブ・チルコットみたいに、何年か後には、別の形で音楽シーンに登場しているかもしれませんね。

CD Artwork © Rondeau Production
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by jurassic_oyaji | 2013-01-20 21:21 | 合唱 | Comments(0)