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MENDELSSOHN/Symphonie in d "Reformations-Symphonie"
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Christopher Hogwood(Editor)
Bärenreiter/BA 9095(Full Score)




メンデルスゾーンの、「宗教改革」という副題のついたいわゆる「交響曲第5番」は、1830年の宗教改革300年祭で演奏するために、自主的に作曲した交響曲でした。。作曲は1830年には完了するのですが、結局300年祭で演奏することはできませんでした。その後、各地で演奏を試みますが実現することはなく、ベルリンで初演が行われたのは1832年の事でした。その際に、メンデルスゾーンは楽譜の改訂を行います。その後は作曲家の生前にこの交響曲が再演されることはなく、ジムロック社から楽譜が出版されたのも彼の死後、1860年ごろでした。もちろん、出版されたのは1832年に改訂された楽譜で、後にブライトコプフ&ヘルテル社からユリウス・リーツ校訂による全集版が出版(1874-7年)された時も、この初版が踏襲されています。
最近、指揮者の新田ユリさんなどがこれとは別の「第1稿」による演奏を行ったということを耳にして、遅ればせながらそのスコアの現物を取り寄せてみました。それが、2009年に出版された、クリストファー・ホグウッドの校訂によるベーレンライター版のウアテクストです。ここでは、改訂前のものを「第1稿」、改定後のものを「第2稿」と表記して、初めてこの交響曲の初期の状態を明らかにしてくれています。「第2稿」というのが、現在普通に演奏されている楽譜ですね。
まず、表紙からも明らかなように、この楽譜には「交響曲第5番」という今まで使われていた番号はどこにも見当たらず、単に「ニ短調の交響曲『宗教改革』」というタイトルになっています。メンデルスゾーンの5つの「大きな」交響曲の番号は、作曲された順番ではなく、単に出版順に付けられているだけのものですから、実質的にはなんの意味もありません。この「5番」も、実際は「2番目」の交響曲なのですね。かと言って、同じベーレンライターがシューベルトの場合に行ったように、「正しい」番号に直したとしても、それは決して世の中に浸透することはなかったという苦い経験を踏まえての、これは苦肉の策だったのでしょう。
楽譜は、「第1稿」と「第2稿」が別々に印刷されているのではなく、異なっている部分だけが「ここからここまでは第1稿」というように示されています。小節番号は「第2稿」のものをそのまま使い、「第1稿」の部分にはたとえば「137a137b~」と、アルファベットで小節数を追加しています。そんな風に「第1稿」が復元されている部分が、第1楽章では3か所、第2楽章と第3楽章には1か所ずつあります。さらに、「第2稿」の第3楽章と第4楽章の間に、改訂の際に削除されたもう一つの楽章が挿入されています。これは、28小節から成るフルートのカデンツァで、そのまま最後の楽章の頭の「神はわがやぐら」のコラールへと続けられます。つまり、「第1稿」ではこの交響曲は5楽章形式だったのです。
しかし、最後の第5楽章(もちろん、従来の第4楽章)に関しては、ホグウッドは全く手を付けていません。この楽章は、すべてのページが丸ごと改訂されていて、もとあった姿を再現することが不可能なのだそうです。そこで、この楽章では巻末に「付録」としてカットされた部分の断片が印刷されています。
この楽譜を使って2009年におそらく初めて録音されたものが、マルクス・ボッシュ指揮のアーヘン交響楽団によるこのSACDCOVIELLO/COV 30910)です。
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ちなみに、この音源はNML で全曲聴くことが出来ますが、このサイトにはトラックの間で音が途切れるという欠陥があるために、この曲でも「第4楽章」のフルートソロが「第5楽章」の頭につながらなければいけないものが、無残にも途中でちょん切られてしまっています。
なお、リッカルド・シャイーが200911月にライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団とともに来日した時には、第5楽章もしっかり復元して「第1稿」で演奏していたのだそうですが、うっかりとしていて、そのことに気付いたのは最近のことでした。

Score Artwork © Bärenreiter-Verlag
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by jurassic_oyaji | 2013-02-01 21:11 | 書籍 | Comments(0)