おやぢの部屋2
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レ・ミゼラブル ver.2
 この間見てきた「レ・ミゼラブル」は、ミュージカル映画としては史上最高の興行収益をあげたと、今日のNHKのニュースで言ってました。NHKのニュースですよ。これが、単に映画界だけの話ではない、社会現象にまでなっているのだということになるのでしょうね。確かに、私のまわりでも「見てきたよ」という人がたくさんいましたからね。でも、有楽町の映画館では「完売です」なんて叫んでいる映像が出てきましたが、利府では150人収容のシアターに20人しかいませんでしたけどね。まあ、都会とイナカのちがいなのでしょう。
 ニュースの中では、この映画がなぜこんなに人気を集めたかということで誰かがコメントしていましたが、それによると、一つの要因はキャストが撮影の時に実際に歌っていたから、感情がストレートに伝わったのだ、ということなのだそうです。つまり、今までのミュージカル映画は最初にスタジオで歌を録音しておいて、撮影はそれに合わせて(口パクですね)演技をするのが普通だったものが、ここでは全くそういうことは行わずリアルタイムに歌っているのを録音したのだ、というのですよ。確かに、キャメロン・マッキントッシュのインタビューがネットにありますから、そういうことは実際に行われていたのかもしれません。
 でも、そんなことは私にはとても信じられません。実際に見た時にも、明らかに口と音がずれていたところはたくさんありましたし、そもそも冒頭の囚人の大群衆のところなんか、どうやってリアルタイムに録音するというのでしょう。そのあとに出てくるジャン・バルジャンの「アリア」では、カットがそれぞれ別の場所になっているのに、カットごとに「生で」歌ってつなげているのでしょうか。絶対にありえません。NHKのニュースでは、その「生」の実例としてアン・ハサウェイと女工たちの絡みを取り上げていました。ソロとコーラスをあんなにバランスよく録音するなんて、いくら技術が進んだとしても「生」では出来るわけがありません。あとは、戦闘シーンのアンサンブルでも、綿密にスタジオでミキシングを行わなければソロの人の声だけがきちんと聴こえるようにすることも不可能です。そもそも、あんなノイズだらけのところで人が歌っている声をきちんと録音することなんて絶対無理ですよ。
 確かに、彼らは撮影の現場で声を出して実際に歌ってはいたのでしょう。しかし、映画館のスピーカーから出てきている声の大半は、間違いなく録音スタジオでマイクに向かって歌っている声だったのではないでしょうか。
 というより、そんな「小技」を宣伝に使って盛り上げようという心構えが、なんともさもしくないですか。ミュージカル映画なんですから、いい歌が聴ければ、それは口パクであろうが生であろうが関係ないことなのではないでしょうか。ミュージカル映画の古典である「ウェストサイド物語」などは、口パクどころか他の人が歌ったものに合わせているんですよ。それでもあれだけの名作が出来上がるのですから、「生」で歌うことなんか全く何の意味も持たないことなのですよ。逆に、前回の「禁断」でも指摘したように、ヒュー・ジャックマンのピッチはひどいものでした。おそらく、あのあたりが「同録」だったのかもしれませんね。そして、あのような不完全な歌でも、逆に「感情がこもっている」とか言って賞賛されてしまうのでしょう。しかし、それは、制作者の完全な思い違いです。歌がきちんと歌えてこそのミュージカルなのですから、それを犠牲にしてまで「感動」をもぎ取ろうという魂胆は、観客に対する裏切りでしかありません。
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by jurassic_oyaji | 2013-02-04 22:13 | 禁断 | Comments(0)