おやぢの部屋2
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WAGNER
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Jonas Kaufmann(Ten)
Markus Brück(Bar)
Daniel Rannicles/
Chor und Orchester der Deutschen Oper Berlin
DECCA/478 5189




タイトルは「カウフマン/ワーグナー」、今や世界最高のワーグナー・テノールとなったカウフマンの、有無を言わせぬ存在感を示すようなシンプルさです。ジャケット写真もおっかないこと。
DECCAからの、これが4枚目となるオーケストラ伴奏のアルバム、ここではそのワーグナーのオペラからのソロ・ナンバー(「アリア」とは言わないところの機微を感じてください)と一緒に、なんと「ヴェーゼンドンク・リーダー」が歌われています。
なぜか、今までのアルバムでカウフマンはすべて異なる指揮者と異なるオーケストラとの共演を行ってきました。ここでも全くの初顔合わせ、というか、実際にコンサートやオペラでも共演したことのないラニクルズとベルリン・ドイツオペラ管弦楽団とのコラボレーションです。しかし、この組み合わせは今までで最高の成果をもたらしているのではないでしょうか。何しろ、今までになかった、実際にオペラを日常的に演奏しているオーケストラとの共演ですから、いたるところでワーグナーならではの音を聴かせてくれています。
今回初めて気が付いたのですが、これを含めた今までのオケ伴のアルバムでは、例のショルティの「リング」の最新のリマスタリングを行ったフィリップ・サイニーがレコーディング・エンジニアを務めていたのですね。これまでのものでは録音に関してはあまりインパクトがなかったのですが、今回はちょっとすごい録音、まさに往年のDECCAサウンドを彷彿とさせる中身の詰まった音が聴かれます。あ、もちろん、セッション録音です。
ワーグナーのオペラ曲は、今までのアルバムでも取り上げられていましたから、ここではあえて重複しないように同じオペラからは別の曲が選ばれています。そこで、最初のトラックの「ワルキューレ」では、前に歌っていた一番有名な「冬の嵐は去り」ではなく「剣のモノローグ」が歌われます。しかし、これがクライマックスの「Wälse! Wälse!」というロングトーンで、完全に圧倒されてしまうのですから、単なるレパートリーの調整以上の効果を上げています。いやあ、この声を聴いてしまうともうそれだけで満足してしまいますよ。最近なんだか「カウフマンとフォークト」みたいにあちこちで同列に扱われているようですが、クラウス・フローリアン・フォークトには絶対にこんな声は出せませんて。
「ジークフリート」からは、「森のささやき」が取り上げられています。ここでは、オーケストラのすばらしさが光ります。管楽器は、フルートでもなくクラリネットでもなくオーボエでもないという、まさにワーグナーの音になっているのですからね。ホルンが「ジークフリートのモチーフ」を吹き始めたら、いきなり「リエンツィ」に変わったのにはびっくりしましたが。
「タンホイザー」の難曲「ローマ語り」も、軽々と歌ってしまうのですから、なんともすごいものです。
「ローエングリン」の「名乗りの歌」は、やはり以前のアルバムにも入っていましたが、今回は「お買い得さ」を増すためにオリジナル・バージョンの「2番付き」が歌われています。ここで書いていたリクエストが、やっとかなえられたのですね。やはり、カウフマンが歌うとちっとも冗長とは思えなくなります。以前のアルバムは2008年の録音でしたが、それ以後のこの役の実際のステージでの体験は、さらに余裕のある歌い方となって今回のアルバムに結実しています。
「ヴェーゼンドンク」を男声で歌うのは初めて聴きましたが、2曲目の「とまれ!」などはこちらの方がよりドラマティックになっていて、これもいいなと思えます。こちらも、フェリックス・モットル編曲のオーケストラがとても雄弁でした。
どこをとってもすばらしいアルバムですが、SACDでなかったことが唯一の欠点です。サイニー渾身のDECCAサウンドを、いつかハイレゾで聴かせて下さいにー

CD Artwork © Decca Music Group Limited
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by jurassic_oyaji | 2013-02-07 20:25 | オペラ | Comments(0)