おやぢの部屋2
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A CAPELLA
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Jacky Locks/
Novo Genere
K617/K617239




「アカペラ」と言えばキツツキの仲間ではなく(それは「アカゲラ」)、あのシンガーズ・アンリミテッド1971年に発表した、コーラスの歴史に残る名盤のタイトルではないですか。恐れを知らないというのは、きっとこのようなことを指すのでしょう。
そんな2006年にフランスで結成されたという新しいグループ「ノヴォ・ジェネレ」が歌うア・カペラのアルバム、サブタイトルは「時空を超えて(意訳)」というものでした。確かに、16世紀のマドリガルから現代のビートルズまでをカバーするラインナップからは、そのような幅広いレパートリーを持つこのグループのキャラクターも感じることは出来ます。そんな両極端だけではなく、間を埋めるレーガーやブラームスといったドイツ・ロマン派の流れもしっかり押さえられていますし。
メンバーは全部で16人、女声10人、男声6人というちょっと見には変なバランス、SopMSAltTenBarBasという6つのパートのメンバー表記になっていて、男声パートはそれぞれ2人だけ、そのテナー・パートの中に指揮者のロックスの名前もありますから、彼は指揮をしながら歌っているのでしょうか。それにしても、写真で見るとメンバーには恥かしげもなく太鼓腹を露出させている、はっきり言って「美しくない」外観の人がたくさんいるのにはちょっと興ざめです。
声の感じは、初期の「スウィングル・シンガーズ」、つまり、フランスで旗揚げされた当時のグループに似ているような気がします。あちらの女声はかなりハスキーでしたが、こちらも、人数の割には軽い感じです。男声もかなり個性的、というか、パートでまとまるというよりは個人のキャラを前面に出しているような歌い方です。音楽の作り方も、あまり掘り下げずにサッパリと歌う、というところでしょうか。
オープニングは、なんとゴスペル・ナンバーの「イライジャ・ロック」でした。フランスのグループがアルバムをゴスペルで始めるというのもやはり「恐れを知らぬ」行いです。案の定、シンコペーションのリズムがことごとく前のめりになってとても不安定、その辺の「ゴスペル・フェスティバル」でシロートが歌っているようなユルさで、とてもプロとは思えません。というか、こういうきっちりしたリズムをキープするのが、この国の人はそもそも苦手なのかも。
彼らは、なぜか、ゴスペルと似たような、二グロ(ピー!)・スピリチュアルズも、ここでは数多く取り上げています。これも、ソリストとコーラスのテンポ感が全く異なっているので落ち着いて聴こうという気にはなれません。女声パートの音色に深みがないのも、こういう曲にとっては致命的。
そして、ビートルズ・ナンバーも登場です。「Yesterday」は、ボブ・チルコットがキングズ・シンガーズ時代に編曲したものが使われていますが、その作家クレジットが「ポール・マッカートニー」となっているのが不思議です。同じように、「You've Got to Hide Your Love Away」では「ジョン・レノン作曲」となっているのも、あり得ない書き方。彼らのビートルズ時代の作品は、たとえどちらかが一人で作ったものでも、つねに「Back in the USSR」(これだって、ポールの作品)のように「レノン&マッカートニー」と表記されるはずですからね。いずれにしても、ロックには程遠いノリの悪さには、聴いている方が恥ずかしくなってしまいます。
お国もののパスローのシャンソン「Il est bel et bon」あたりになると、軽妙さがプラスに働いてやっと楽しく聴くことが出来るようになります。ただ、細かいところでのユルさには、目をつぶるしかありません。
残響の多い教会で録音されたため、そんなユルさはさらに強調されてしまいます。こういうグループの場合には、もっと人工的な処理で音を作った方が良い結果が出るのではないかと思うのですが。

CD Artwork © K617
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by jurassic_oyaji | 2013-03-10 14:13 | 合唱 | Comments(0)