おやぢの部屋2
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MOZART/Sinfonia Concertante, STRAUSS/Also spracha Zarathustra
MOZART/Sinfonia Concertante,  STRAUSS/Also spracha Zarathustra_c0039487_23285589.jpg

Lother Koch(Ob), Karl Leister(Cl)
Gerd Seifert(Hr), Günter Piesk(Fg)
Herbert von Karajan/
Berliner Philharmoniker
TESTAMENT/SBT 1474




1970年8月12日に、ザルツブルクの祝祭大劇場で行われたカラヤンとベルリン・フィルとのコンサートの模様をすべて収録したCDです。いや、別にそんなヒストリカルなものには興味はないのですが、なんせGalway in Orchestraのアイテムなものですからね。あのリストによれば、今までは別のカップリングの海賊盤しかありませんでしたから、やっと本来のライブ録音の形での正規品が入手できたことになります。おそらく、TESTAMENTのことですから、音もかなり改善されていることでしょう。
この年のカラヤンは、5月にベルリン・フィルと来日して、大阪と東京で12回のコンサートを行っていましたね。そして、夏のザルツブルク音楽祭では、ウィーン・フィルとはオペラ、ベルリン・フィルとはコンサートという「両手に花」の大活躍ぶりです。今回CD化されたコンサートは、ここに入っているモーツァルトとシュトラウスの2曲だけという、1時間ちょっとで終わってしまうプログラムでした。その前の日には「ドン・ジョヴァンニ」、次の日には「オテロ」というスケジュールですから、息抜きみたいなものだったのでしょうか。
最初の曲は、モーツァルトの管楽器のための協奏交響曲です。もちろん、ロバート・レヴィンによってフルート・オーボエ・ホルン・ファゴットというソロ楽器群のための楽譜が「修復」されるのは1983年の事ですから、この曲ではゴールウェイの出番はありません。ここでは、当時知られていたこの曲の唯一の楽器編成のために、オーボエのコッホ、クラリネットのライスター、ホルンのザイフェルト、そしてファゴットのピースクという、当時のベルリン・フィルの花形奏者たちがソリストを務めています。
ここでは、カラヤンらしいたっぷりとした響きがあまり感じられないのは、オーケストラの弦楽器のメンバーが大幅に縮小されているのと、オーストリア放送による録音のせいなのでしょう。「これがベルリン・フィル?」と思えるような貧弱な音には、ちょっとがっかりさせられてしまいます。オーケストラの精度も、ちょっといい加減なのも気になります。第2楽章の頭のアインザッツがボロボロなのも、ライブ演奏ならではのご愛嬌でしょうか。その分、ソリストたちのアンサンブルはまさに隙のない完璧なものでした。こちらは、別な意味でのライブでなければ出せないような自由な味が満載、時として、カラヤンがその流れを邪魔しているのでは、とさえ感じられるほどでした。
そして、お目当ての「ツァラトゥストラ」です。ただ、この曲の場合、フルートはそんなに目立つような働きはしていません。おいしいソロなどは何一つないという、はっきり言ってフルーティストには「報われない」曲なのでは、という気がしてなりません。ですから、別にゴールウェイが吹いているからと言っても、特に聴きどころはないのでは、と思っていました。ところが、有名なファンファーレが終わって「後の世の人々について(Von den Hinterweltlern)」の静かな部分に入ってすぐに、まぎれもないゴールウェイの音がくっきりと聴こえてきたではありませんか。それは、バス・クラリネットとユニゾンで演奏されている「ド-ド♯-レ」という音型なのですが、実際はほかの楽器の陰になってまず聴こえてこない低音です。というか、今まで何度となくこの曲を聴いてきましたが、フルートがそんな音を出しているなんて気づいたこともありませんでしたよ。念のため、同じカラヤンがウィーン・フィルを指揮している1959年のDECCA盤のSACDを聴きなおしてみましたが、そんな音は全く聴こえてきません。
聴きすすんでいくと、最後近くの「舞踏の歌(Das Tanzlied)」では、ほんの少しですがちゃんとしたゴールウェイのソロが聴けました。はっきり言って、こんな2か所だけの「出番」で、すっかり満足しているのが、ゴールウェイ・マニアなのですから、ほっといて下さい(ゴーイング・マイウェイ)。

CD Artwork © Testament
by jurassic_oyaji | 2013-03-12 23:30 | オーケストラ | Comments(0)