おやぢの部屋2
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SIBELIUS/Symphonies 1, 4, 7
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渡邉暁雄/
Helsinki Philharmonic Orchestra
TOKYO FM/TFMCSA-1007(single layer SACD)




以前、2003年にCDで出ていた、1982年のヘルシンキ・フィルによるシベリウス・ツィクルスの、シングル・レイヤーSACDでの再発です。5枚だったCDが、もっと長時間の収録が可能なSACDでは、3枚になってしまいました。こんな、CDではありえない時間表示です。
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今でこそ、シベリウスのツィクルスなどアマチュアのオーケストラでも成し遂げていますから、別に珍しいことではありませんが(さらに、まさにこの3月から4月にかけて、インキネンと日本フィルが東京と横浜で全曲演奏を行っています)この録音は、ヘルシンキ・フィルによって日本で初めてシベリウスの交響曲が全曲まとめて演奏されたという画期的な3つのコンサートのライブ録音です。それを企画したのが、民間のFM局だったというのも、今考えるとすごいことですよね。スポンサーはTDK、当時のFM放送を「エアチェック」するには欠かせないアイテム、「カセットテープ」のトップメーカーでした。1月22日、東京の厚生年金会館での3番、6番を皮切りに、1月28日福岡サンパレスでの1番、4番、7番、2月4日大阪フェスティバルホールでの2番、5番がそれぞれ録音され、「TDKオリジナルコンサート」として放送されたのですね。今回のSACD化によって、それぞれのコンサートが丸々1枚に収まることになりました。その代わり、CDでは余白に入っていた渡邉暁雄のインタビューとリハーサル風景はカットされています。
そう、このツィクルスでは、ヘルシンキ・フィルに同行した首席指揮者、オッコ・カムだけではなく、日本からも渡邉暁雄が参加、福岡での3つの交響曲の指揮をしていたのですね。今回のSACDは、その渡邉の指揮によるコンサートを、アンコールの「悲しきワルツ」まで含めて収録したものです。
実は、母親がフィンランド人である渡邉は1961年に、常任指揮者を務めていた日本フィルハーモニー交響楽団とともにシベリウスのステレオによる交響曲全集の録音を世界で最初に行っているのです。日本コロムビアによって録音(エンジニアは若林駿介)された音源は、当時提携関係にあったアメリカ・コロムビアからEPICレーベルで全世界へ向けてリリースされました。さらにこのコンビは、1981年にも、やはり日本コロムビアのDENONレーベルから、これも世界初となるデジタル録音によるシベリウス全集を出しているのですね。そして、その翌年にこのようなエポック・メイキングなコンサートの一翼を担うことになるのです。
そんな「偉業」を成し遂げた渡邉ですが、音楽を作る現場では非常に紳士的で穏やかな方だったそうですね。実際に、日本フィルのヴァイオリン奏者だった知人から直接聞いた話では、リハーサルの時は決して声を荒げることはなく、気に入らないところがあっても、穏やかな声で「ここはこうしてください」と諭すのが、最大限の怒りの表現だったということです。
ここで聴くことのできる「1番」が、まさにそんな人柄がよく反映された演奏なのではないでしょうか。どちらかというとドラマティックに演奏されがちなこの曲ですが、そのような華やかさは敢えて表面には出さず、もっと節度のある、行ってみれば「素」のシベリウスとしてのテイストを重要視しているように聴こえます。
ライナーに、かつてはラハティ響、現在はミネソタ管の音楽監督であるオスモ・ヴァンスカが、このコンサートにはクラリネット奏者として参加しているという記述がありました。ヴァンスカのお弟子さんの新田ユリさんのお話では、ここでは2番奏者として演奏しているそうですね。確かに、インレイの写真にはそれらしい人が写っています。
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なんでも、ヴァンスカは今でもクラリネット奏者としてアンサンブルなどを行っており、来日の際にも暇を見つけては楽器をさらっていた、というのも、新田さんからの情報です。夏休みにも、そうなのでしょう(それは「ヴァカンス」)。

SACD Artwork © Tokyo FM
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by jurassic_oyaji | 2013-03-16 22:25 | オーケストラ | Comments(0)