おやぢの部屋2
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TDKオリジナルコンサート
 この間アップした、渡邉暁雄とヘルシンキ・フィルのシベリウスは、もっと書きたいことがあったのですが、字数の関係で大幅にカットしてました。ですから、ちょっと残念だと思っていたところに、きのう発売になった「レコード芸術」でのそれに関してのレビューがちょっと私の情報と異なっていたもので、この際その書き足らなかったことをここで付けくわえてみようと思いました。
 このSACDは、「おやぢ」にも書いたように、以前はCDで出ていたものでした。それを今回シングルレイヤーのSACDで再発したのですね。もちろん、一番の関心は、どれだけ音が変わったか、ということです。ただ、録音されたのが1982年というのが、ちょっとした不安をかきたてられるものでした。この時期は、世の中はそれまでのアナログ録音に代わって、徐々にデジタル録音が主流になっていた頃ですから、これはもしかしたらデジタル録音かもしれないのですね。今となっては笑い話ですが、その当時は本気で「デジタル録音の方がアナログ録音より優れている」と信じられていました。なんと言っても、いくらダビングを繰り返しても音が劣化しない、というのが最大の売り物だったような気がします。それは確かにそうなのですが、今となってみれば、元の音は明らかにアナログ録音の方が優れていたのですね。つまり、当時の「デジタル」録音で用いられていた機材は、殆どSONYのPCM-1610(のちにPC-1630)というデジタル・プロセッサーで、そのフォーマットはCDと同じ16bit/44.1kHzだったのですよ。
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 ということは、この頃「デジタル録音」されたものは、すべて16/44.1だと考えていいのですね。ということは、SACDのフォーマットは、PCMに置き換えると24/96程度となるものなのですから、そこにCD並みのフォーマットで録音されたものを入れたとしても、まさに「CD並み」の音しか期待できないことになります。収録時間は伸びますが、音質的にはSACDとしてのメリットは何もないことになってしまいます。実際、このシベリウスのSACDのマスタリングを行ったALTUSというところは、今までにこのような「CD並みのSACD」を数多くリリースして来ていて、そのたびに「SACD並み」の音を期待していたユーザーを裏切ってきているのですね。
 そこで、まずこのSACDのブックレットを隅から隅まで見てみましたが、そこには録音のフォーマットは何一つ書かれてはいませんでした。かつてのCDには必ず「AAD」とか「DDD」といった、元の録音がアナログかデジタル化という表示が入っていたものですが、それすらもありません。ただ、実際に聴いた音からは、かすかにヒスノイズのようなものが聴こえてきたので、たぶんアナログだろうな、という気はしました。しかし、アナログをSACDにした時に感じられるような立体感が全くありません。まあ、それは元の録音のせいなのだろうと思いました。
 しかし、帯にも宣伝の入っていた「伝説のクラシックライブ」という本を読み返してみると、そこには、この録音が「TDKオリジナルコンサートでは最初となるデジタル録音」と誇らしげに書いてあるではありませんか。やはりそうだったのですね。ヒスノイズのように聴こえたのはラインノイズかなんかだったのでしょう。
 そこで「レコ芸」です。「新譜月評」として歌崎さんという方が、同じ時期に出たALTUSとTOKYO
FMのSACDを紹介しているのですが(99ページ)、これについてはしっかり「82年の(アナログ)録音」と書かれていました。かっこ付きというのが、なんかいい加減でいいですよね。
 でも、そもそもはFM放送をカセット・テープで「エアチェック」して満足していたような音源ですから、そんな細かいことを言う必要はないのかもしれませんけどね。データを明記しなかったのは、最初から音に自信がなかったからなのでしょう。

(3/22追記)
「CDにはAADと表記されている」というコメントが寄せられました。ということは、このSACDもアナログのマスターだったのでしょうか。しかし、SACDにはそのようなデータが一切掲載されていないので、真相は分かりません。こちらが、「伝説のクラシックライブ」の原文です。
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by jurassic_oyaji | 2013-03-21 21:42 | 禁断 | Comments(2)
Commented by 受川 at 2013-03-22 02:34 x
いつも楽しく拝読させて頂いております。
疑問なんですが、自分は以前出てた通常CDを所有してますが、
ケース裏側にAADとクレジットされています。
さらに、ジャケット表面および帯には96KHZ24BITリマスタリングと
表記されています(もし16bitPCM録音であればこんなことありえませんよね)。
もしその「伝説のクラシックライブ」という本の記述が正しいとすれば、
CDの表記はウソになりますよね。
表記が正しければ、その本に書かれてたことは間違いということになりますよね。
真相はどうなんでしょうかね。
というか、本当にSACD盤は通常CDに較べて音質良くなってませんでしたか。
Commented by jurassic_oyaji at 2013-03-22 10:59
受川さん。貴重な情報をありがとうございました。
そうですか、CDにはAADという表記があるのですね。「伝説のクラシックライブ」の原文を、本文に追加したのでご覧になってください。ただ、放送に関してはデジタルであっても、録音の時にはバックアップとして同時にアナログ録音を行っていた可能性はあります。もしかしたら、CD化の際にはそちらのアナログテープをマスターにしたのかもしれませんね。
マスタリングの時に、16ビットのデジタル録音でも、アップコンバートすることはよくありますが、AADと書いてあるのなら、やはりアナログのマスターだったのでしょう。
問題は、SACDには、そのような表記が一切ないということです。困ったものですね。
ですから、私はCDは聴いていないので、SACDとの比較はできません。もう廃盤になっているので、入手もできませんし・・・。