おやぢの部屋2
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WAGNER/Die Feen
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Alfred Reiter(Feenkönig)
Tamara Wilson(Ada), Burkhard Fritz(Arindal)
Sebastian Weigle/
Frankfurter Opern- und Museumsorchester
Chor der Oper Frankfurt(by Matthias Köhler)
OEHMS/OC 940




ワーグナー・イヤーのご利益でしょうか、普段はまず聴くことのないワーグナーが最初に完成させたオペラ「妖精」の全曲CDなどというものが発売されました。2011年にフランクフルトのアルテ・オーパーで行われたコンサート形式による演奏のライブ録音です。指揮は、2007年にバイロイトにデビュー、あのカタリーナ・ワーグナー演出の「マイスタージンガー」のプロダクションに2011年まで5年間みっちり付き合った、フランクフルト歌劇場の音楽総監督セバスティアン・ヴァイグレです。彼はすでにこのレーベルから「指環」をリリースしていますが、このような初期作品にも関心を寄せていて、2012年にはすでに「恋愛禁制」を同じようにコンサート形式で上演していますし、2013年には5月17日と20日に「リエンツィ」が予定されています。いずれ、それらもCDになるのでしょうから、楽しみですね。
このオペラを作ったのが1834年といいますから、ワーグナーはまだ21歳の「若造」でした。カルロ・ゴッツィの寓話劇「蛇女」を元にワーグナー自身が台本を書いています。もうこのころから、彼の終生のテーマとなる様々なモティーフが、その台本にはちりばめられています。その最も重要なものが「オランダ人」や「タンホイザー」に端的に現れる「救済」でしょう。なんでも、ワーグナーは、この台本を作る10年以上前から、それが頭にあったそうです(「9歳」ね)。
それはともかく、トラモント国の王子アリンダルは、狩りの途中で牝鹿に姿を変えた美しい妖精のアーダと出会い結婚して2人の子供までもうけますが、「8年間は素性を尋ねてはならない」という掟を破ったためにアーダと別れなければならなかったり、彼女を呪いさえしなければ復縁出来るという猶予まで与えてもらったのに、結局アーダが2人の子供を火中に投げ込むという幻影を見せられて、彼女を呪ったあげくに石に変えてしまうという、やはり後の「ローエングリン」や「指環」に登場する「掟」も満載です。
音楽は、それこそウェーバーあたりの「初期のドイツオペラ」の様式をそのまま取り入れた、きっちりとアッコンパニャートやアンサンブル、アリアが分かれている分かりやすいものです。第2幕あたりはかなりスペクタクルなシーンで、最後にはステージに用意された2台のスピーカーから雷鳴まで流されます。
それに比べると、最後の第3幕はもっとおちついた音楽で、なかなか楽しめます。呪いを解くためのアリンダルのアリアでしょうか、竪琴をかきならしながら(つまり、ハープの伴奏に乗って)歌われるナンバーは、まるで「タンホイザー」の「夕星の歌」みたいですし、それによってアーダが蘇るシーンなどは、「ジークフリート」でブリュンヒルデが目覚めるシーンと重なります。
とは言っても、やはり「若き日の習作」というイメージは拭い去ることはできません。これを聴くと、「オランダ人」でさえ全く別の人が作ったもののようにしか思えません。なにしろ、ワーグナー自身が、序曲だけは演奏したものの、オペラ本体を生前に上演することはなかったのですからね。その後の作品を世に出した後では、もうこれは「なかったことにしたい」と思ったとしてもおかしくないような気がします。
ブックレットでは、あらすじは英語で読めるものの、リブレットはドイツ語しかありません。せめて英訳ぐらいは載せて欲しかったものです。
この上演は5月の3日と6日というように、間に2日間の休みを入れて行われていますが、日本の代理店(NAXOS)が付けた帯には「3-6日」と、あたかも4日間連続だったような書き方になっています。アリンダル役のフリッツなどは、最後のあたりはもうスタミナがなくなってバテバテ、とてもそんな過酷なスケジュールはこなせません。些細なことですが、こんな小さなミスが、代理店の印象をいたく貶めることになるのです。

CD Artwork © OehmsClassics Musikproduktion GmbH
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by jurassic_oyaji | 2013-03-30 22:23 | オペラ | Comments(0)