おやぢの部屋2
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Mussorgsky/Pictures from an Exhibition(orch. by Funtek)
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Horia Andreescu/
Netherlande Radio Philharmonic Orchestra
ELECTRECORD/EDC 735




ムソルグスキーのピアノ曲「展覧会の絵」を、レオ・フンテクがオーケストラに編曲したものは、まだ全曲を聴いたことはありませんでした。そんな時に、ルーマニアの聞いたこともない名前の指揮者が、やはり初めて聞くルーマニアのレーベルに録音したCDが出たので、聴いてみることにしました。でも、現物を見てみたらリリースされたのは2007年と、かなり前のライブ録音(録音の時期はどこにも書いてありません)でした。オーケストラだけはオランダ放送フィルと、まずまずの有名どころなので、一安心ですが。
「展覧会」に先立って、ドヴォルジャークの8番が演奏されていました。これはなかなか、と思わせられるようなしっかり音の立った響きが心地よさを誘います。フルート・ソロも密度の高い音色で、最初のテーマを聴かせてくれていましたよ。ただ、普通は「ソーシー、レッシミッシレッシミッシ、レーシー」と、高い「レ、ミ、レ、ミ」の音のあとに少し隙間をあけるものですが(楽譜にも、休符が入ってます)、この人は「レーシミーシレーシミーシ」と全部レガートで歌っているのがユニーク。これは指揮者の指示だったのでしょうか。ただ、2回目に出てくるときはやはりこの吹き方ですが、3回目にコール・アングレ、クラリネットに続いて出てくるときには、きちんと楽譜通りに吹いていましたね。
演奏自体は、とてもドライブ感にあふれた颯爽たるものでした。オーケストラを思い切り鳴らして、へんな「タメ」を作らずに一気に最後まで運んでいくこのアンドレースクという人の芸風は、とてもチェリビダッケの教えを受けたとは思えないほどのカッコよさです。
ただ、そんな音楽の作り方は、だんだん飽きが来るのでしょうか、終わりのころには聴いていてなんだか退屈になってしまいます。いや、それはオーケストラが次第にだらしない演奏をするようになったことによって、誘発されたような気がします。ライブだから仕方がないことなのでしょうが、だんだんつまらないミスが目立ってきたり、アンサンブルに締まりがなくなったりしてくると、なんだかこの指揮者は、オーケストラのメンバーからあまり信頼されていないのではないか、というような気がしてきます。
後半の「フンテク版展覧会」になると、もしかしたら、彼らは今まで一度も演奏したことのないこの曲を、初見で演奏しているのではないか、と思えるほどのひどい演奏に変わります。ラヴェル版よりもほんの少し前に発表されたというこのフンテク版は、ラヴェルのようなチマチマした仕掛けはほとんどなく、あくまで骨太に迫ってくるようなオーケストレーションのようです。もちろん、シンセなども使いません(それは「ハイテク版」)。そこで肝心なのが全員が同じ目的をもって邁進するというトゥッティの作り方なのでしょうが、それが全然合っていないために、無駄にエネルギーが拡散してしまって塊となって聴こえてこないのですよ。さらに、この編曲の要は打楽器。シロフォンなどが非常に効果的な「隠し味」として使われているのに、それがほかの楽器とタイミングが合わなくて飛び出して聴こえてしまいますから、ただの騒々しさしか出てきません。
ソロ楽器も、なんだかやる気が全くないような無気力さを見せているところもありましたね。「ビドロ」のソロはバス・クラリネットでしょうか。ちょっと高い音域なので難しかったのかもしれませんが、とてもプロとは思えない余裕のないフレージングに終始していましたね。どこだか忘れましたが、ピッコロがとても目立つところで半音近く低い音を出していたところもありましたし。
ラヴェルがカットした「サミュエル・ゴールデンベルク」のあとの「プロムナード」がとても新鮮に感じられる魅力的なアレンジなのですが、ひどい指揮者にかかるとこんなにも雑な仕上がりになってしまうのですね。

CD Artwork © Electrecords
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by jurassic_oyaji | 2013-04-03 20:41 | オーケストラ | Comments(0)