おやぢの部屋2
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TELEMANN/Lukas Passion(1748)
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Veronika Winter(Sop), Anne Bierwirth(Alt)
Julian Podger(Ten), C. Heidrich, M. Vieweg(Bas)
Hermann Max/
Rheinische Kantorei
Das Kleine Konzert
CPO/777 601-2




この間、こんなレビューを書いたときに、テレマンの作品番号などを調べていたら、受難曲をものすごくたくさん作っていることが分かりました。ここで言う「受難曲」とは、正確には「オラトリオ風受難曲Oratorische Passion」と呼ばれるもので、似たような名前の「受難オラトリオPassionsoratorium」のことではありません。前者は聖書の福音書に書かれていることをそのままテキストにした部分を含んでいますが、後者は聖書からは離れて、自由に作られたテキストを用いている、という点が異なっています。バッハが作ったのはすべて「オラトリオ風受難曲」ですが、テレマンは、より時流に乗った「受難オラトリオ」も作っています。その最も有名なものが、バルトルト・ハインリヒ・ブロッケスの受難詩をテキストに用いた「ブロッケス受難曲」です。
「オラトリオ風受難曲」の分野では、テレマンは1722年から毎年欠かさず「マタイ」、「マルコ」、「ルカ」、「ヨハネ」の4つの福音書による新しい受難曲を1曲ずつ作り続けるというとんでもないことを成し遂げています。それが、彼が亡くなるまでの46年間に及んだというのですから、すごいものです。ですから、その間に「マタイ」と「マルコ」は12曲、「ルカ」と「ヨハネ」は11曲作ったことになります。
そんなにたくさんの受難曲ですが、実際に楽譜が残っているのはそのうちの半分ぐらいなのでしょう。さらに、録音されているものになったら、ほんの一部しかないはずです。調べてみたら、今までにCDになったものは全部で10曲程度でした。
まあ、この程度だったら、いずれ全部聴くことだって出来るかもしれません。ただ、正直「ブロッケス」を聴いた時にはあまり良い印象はありませんでした。こちらの受難曲も1曲聴いたら大体他のものも予想されてしまうかもしれませんから、わざわざ買うのもなんだなあ、と思っていたら、なぜか棚の中からこんな1748年の「ルカ受難曲」第7番(笑)が見つかったではありませんか。まだそんなに古くなっていない、2011年リリースのCDです。いつの間に買ったのでしょう。なんでも、2010年の「テレマン・フェストターゲ」でのライブ録音なのだそうです。
この、いわゆる「テレマン音楽祭」というのは、1962年から作曲家の生地マグデブルクで始められ、最近では特定のテーマを設けて2年に1回というスパンで開催されています。音楽学者との協力のもとに、世界的な演奏家によって新しいテレマン像を明らかにしようという壮大な音楽祭です。この「ルカ」も、2010年にカルステン・ランゲという人によって校訂された楽譜が使われています。
同じ「オラトリオ風受難曲」とは言っても、初めて聴いたテレマンのものは、聴き慣れたバッハのものとはかなり肌触りが異なっていました。演奏時間は1時間半程度と、バッハの「ヨハネ」ぐらいの長さなのですが、まず、肝心の聖書朗読の部分が出てくるまでに、合唱、ソプラノのアリア、ソプラノの伴奏つきレシタティーヴォ(アッコンパニャート)、コラールと、4つのナンバーが演奏されています。バッハみたいに、合唱が一つ終わるといきなり辛気臭いエヴァンゲリストのレシタティーヴォ・セッコが始まるのではなく、その前に軽やかなアリアでまず場を和ませようというサービス精神のようなものが感じられてしまいます。そう言えば、次々に登場するアリアは、なんともキャッチーなメロディを持っていますが、そのほとんどが3拍子といういわば当時のダンスビートに乗ったものであるのも、興味深いところざんす。なによりも、すべてのナンバーに聴き手のツボを押さえたポイントが感じられるというのが、ヒットメーカーならではの面目躍如といったところ、生前はもてはやされても時がたつにつれて忘れられてしまうというのも、現代のヒットメーカーに通じるところがあるのではないでしょうか。○室哲也みたいな。

CD Artwork © Classic Produktion Osnabrück
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by jurassic_oyaji | 2013-04-05 20:33 | 合唱 | Comments(0)