おやぢの部屋2
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STRAUSS/Elektra
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Birgit Nilsson(Elektra)
Regina Resnik(Klytemnestra)
Marie Collier(Chrysothemis)
Tom Krause(Orest)
Georg Solti/
Vienna Philharmonic Orchestra
DECCA/SET 354-5(LP)




ネット通販サイトで新しいCDを検索していたら、なんとも懐かしいこんな「LP」の新譜が見つかりました。録音には定評のあるジョン・カルショーとゴードン・パリーのチームによるDECCA盤、さっそく注文してしまいました。最近は日本のユニバーサルが「100% Pure LP」とか言って、素材や製法にこだわった「超高音質」のLP(今まではロックやジャズだけでしたが、6月から、待望のクラシックのタイトルも登場します)を出しているぐらいですから、もはやオーディオ・マニアにとっては、LPCDの後継者とみなされているのかもしれませんね。冗談みたいな話ですが、これは紛れもない事実。もしお宅にレコードプレーヤーが健在でしたら、一度LPをかけて聴いてみてください。CDでは絶対味わえない素晴らしい音がすることに気づくはずですよ。
届いたLPは、半世紀近く前に発売されたものを忠実にコピーしたものでした。ボックスやブックレットも完全復刻、中袋まで当時と同じものなのですから、これは感激もの。すごいのは、レーベルもそのまま復刻してあるために、そこに印刷されている当時のマトリックス番号まできちんと盤面に刻印してあるということです。いったいどれだけマニアックなのか、恐ろしくなるぐらいですよ。ですから、当然品番も昔のものと同じになりますね。
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ただ、これはDECCAが作ったものではなく、「Speakers Corner Records」という、15年ぐらい前からこのようにさまざまなレーベルの復刻LPを作っているドイツの会社の製品です。実はここでは、復刻品だけではなく、TACETというドイツのレーベルのものでは「新録音LP」も作っています。昔ご紹介したこちらがそうでした。現物にはどこを見ても「Speakers Corner」という文字は見当たらないのに、今回同梱してあったカタログには載っていたので、やっと正体がわかりました。
TACET盤ではちょっとスクラッチ・ノイズが気になりましたが、今回はそんなことはありませんでした。ただ、こういう仕様ですから、詳しい録音データなどは書かれていないのはしょうがありません。別なところで調べると、ウィーンのゾフィエンザールで録音が行われたのは1966年6月、9月、11月と、1967年2月、6月、プロデューサーはジョン・カルショーとクリストファー・レイバーン、エンジニアはゴードン・パリーとジェームズ・ブラウンということでした。カルショーはこの少しあとにDECCAを退社してしまいますから、このチームによる殆ど最後のオペラの録音ということになります。
有名な「指環」で見られるように、カルショーたちはオペラの録音にあたっては耳で聴いただけでもその情景が的確に伝わるように、楽器以外のSEを使ったり声をわざと歪ませて特別な音場を表現したりと、様々なアイディアを盛り込んでいました。ジャケットのDECCAロゴの下にある「SONIC STAGE」という文字は、レーベルが宣伝用に「新しい録音方式」としてでっち上げたもので、実際は今までの録音となんら変わるものではなかったのですが、「音によるステージの再現」というコンセプトはそんな思惑を超えて今でも強烈なインパクトを与えてくれます。ニルソンの突き抜けるような声はもちろんですが、レズニクの深い表現力も、そんな録音上のサポートを得て恐ろしいほどに伝わってきます。彼女の狂ったような笑い声がエコーを伴って徐々にオフになっていくあたりは、まさにLPでしか味わえない不気味さです。これをCDで聴けば、ただの子供だましにしか聴こえてはこないでしょう。
ショルティの指揮も、エキセントリックそのもの、ただでさえ異常なこの作品のテンションを、ほとんど耐えきれないほどにまで高めています。しかし、LPで聴くウィーン・フィルの音には、どんな絶叫の中にもしっとりとした優雅さがありました。それは、音楽の途中で唐突に盤面を交換しなければいけないというLPの理不尽さを補ってもあまりある、極上の魅力です。

LP Artwork © The Decca Records Company Limited
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by jurassic_oyaji | 2013-04-07 19:41 | オペラ | Comments(0)