おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
MERCURY LIVING PRESENCE/The Collector's Edition 2
c0039487_217413.jpg










Various Artists
MERCURY/478 5092(55 CD)
              478 5256(6 LPs)




ほぼ1年前にご紹介したMERCURYCDLPボックスの続編が出ました。前回はCDが50枚でしたが、今回は1割増しの55枚のボックスです。LPは同じ6枚ですが。
なにしろCD55枚ですから、とても全部を聴くことはできません。しかも、これらはすべてにボーナス・トラックが入っていて、オリジナルのLP1枚以上のコンテンツですから、なおさらです。ですから、まずは、同時にLPで発売になったアイテムの聴き比べということになります。
もちろん、その作業はいかにLPの音が優れているか、ということを確認することにしかならないのは、聴く前から分かっていました。この日のために、ちょっと不安のあったカートリッジも新品に交換して最高のコンディションでLPを聴いたのですから、なおさらです。まず、最初に手にしたアンタール・ドラティとロンドン交響楽団の1962年録音のシェーンベルクなどのアルバムでは、最も音色的な違いが分かりそうなウェーベルンの「5つの小品」を聴き比べてみると、もうそれぞれの楽器の存在感がまるで違います。マンドリンなどはCDではまるで別の楽器のように聴こえてしまいますし、チェレスタも別物、総じてそれぞれの楽器の持つ「綾」が、きれいさっぱりなくなっています。CDだけを聴く分には、とてもスマートな音として味わえるのかもしれませんが、LPで本来の音を聴いてしまえば、それは何とも人工的な、まるで機械のような奇怪な音にしか聴こえません。
もう一つ、曲としては聴きなれているサン・サーンスの「オルガン」を、ポール・パレーとデトロイト交響楽団の1957年の録音で聴いてみました。これは、トゥッティの弦楽器の音が、LPでは集合体の中からしっかり個々の楽器の音が感じられるのに、CDでは一塊の鈍い響きにしか聴こえません。ここで使われているオルガンはそんなに重厚な音が出る楽器ではないようなのですが、CDではさらに安っぽい、まるで電子オルガンのように聴こえてしまいます。
1990年代に行われたこれらのCDのマスタリングでは、オリジナル・プロデューサーのウィルマ・コザート・ファインが自ら3チャンネルのマスターテープから2チャンネルマスターへトランスファーするためのコンソールを操作しています。ボックスに同梱されているブックレットには、その時の写真が載っていますが、脇のラックにはPCM-1630らしきものが見えます。当時は16-bitの限界はそれほど意識されてはいなかったのでしょうね。
予期せぬことでしたが、CDボックスの最後の方に、とんでもないものを見つけてしまいました。ラファエル・プヤーナという、コロムビア出身のチェンバリストのアルバムです。
c0039487_21114031.jpg

これは「The Golden Age of Harpsichord Music」というアルバムですが、これ以外にも「プレイズ・バッハ」と「バロック・マスターピース」というアルバム、全3枚です。このジャケットを見ればわかるように、録音当時の1960年初頭では「チェンバロ」といえばこれしかなかった「モダンチェンバロ」が使われているものです。これは有名なプレイエルの「ランドフスカ・モデル」ですね。
c0039487_21105393.jpg

このパワフルな、まるで怪物のようなモダンチェンバロの音には圧倒されます。ピアノと同じ金属フレームに張られた金属弦の音色は強靭そのもの、なんせ、曲が終わっても音がそのまま伸びているのなんて今の(というか、「昔」の)チェンバロでは考えられないことです。もしかしたら、ダンパー・ペダルも付いていたりして。これも、例のSpeakers Cornerから復刻盤が出ているのですが、こればっかりはこれ以上いい音で聴く意味が感じられません。そのジャケットがこちら。CDでは見事に写真が裏焼きになってましたね。
c0039487_2110951.jpg

実は、こんな風にCD化にあたってはジャケットのデザインも変更されているのですが、中にはオリジナルとは似ても似つかないものに変わっているものもありました。一連のCD化には、「復刻」という意味合いはなく、あくまで新しいメディアでの「再生」というコンセプトだったのかもしれません。
c0039487_2193090.jpg


CD & LP Artwork © Decca Music Group Limited
[PR]
by jurassic_oyaji | 2013-04-21 21:13 | オーケストラ | Comments(0)