おやぢの部屋2
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WAGNER/Tannhäuser
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Robert Dean Smith(Tannhäuser), Christian Gerhaher(Wolfram)
Nina Stemme(Elisabeth), Marina Prudenskaya(Venus)
Marek Janowski/
Rundfunkchor Berlin(by Nicolas Fink)
Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin
PENTATONE/PTC 5186 405(hybrid SACD)




ヤノフスキとベルリン放送交響楽団による世界初のワーグナー作品のSACDツィクルス、順調にリリースが進んで、これは第6弾となる「タンホイザー」です。仙台ニューフィルの会報ではありません(それは「カイホーゲン」)。すでに第7弾の「ラインの黄金」もリリースされていますから、きっちり今年中には全10作が出そろうことでしょう。当初は9作買った人には最後の「神々の黄昏」がプレゼントされるという権利をゲットするための「ヴァウチャー券」というものが同梱されていたのですが、これにはなぜか入っていません。どうせフォークトが歌っている「ローエングリン」は買ってませんから、全巻そろうわけがないので、どうでもいいことなのですが。
そして、前作の「トリスタン」からは、もう1ヵ所今までと違っているところがありました。それは、裏表紙にある録音方式の表示です。
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このように、今まであった「DSD」のロゴの代わりに「PCM HI-RES」つまり「ハイレゾPCM」のロゴが入っているのですね。そもそもSACDとはDSDによって記録されている媒体なのですから、SACDであればすべからく「DSD」ロゴが表記される、という方が、正しい使い方なのでしょう。実際、オリジナルの録音がアナログのものでもPCMのものでも、この「DSDロゴ」は入っていますからね。そういう意味では、「ハイレゾPCMSACD」などというありえないものがここでは表記されていることになります。ですからこれは、おそらくこのレーベルとしてはオリジナルの録音フォーマットをここで表示していることになるのでしょう。額面通りに受け取れば、今まではDSDで録音していたものが、ある時点でハイレゾPCMに変わったということなのでしょう。実際、DSDで録音したものはほとんど編集ができませんから、現場ではまずPCMで録音してそれを編集、最終的にDSDのマスターを作るというのが現在の一般的なSACDの製造工程のようですね。ただ、「PCM HI-RES」ロゴがあるものは間違いなくオリジナルがハイレゾPCMということになるのでしょうが、「DSD」ロゴの場合は果たしてオリジナルフォーマットがDSDなのかどうかはわからないのですね。ですから、こんな変なロゴを入れるのではなく、BISのように録音データのところにオリジナルフォーマットを表記するというのが、最も誤解を招かないやり方なのではないでしょうか。
DSDであれ、PCMであれ、この一連のワーグナーの録音を担当しているPolyhymniaのスタッフは、彼らのかつての職場であったPHILIPSレーベルのサウンドポリシーを非常に大切にしているように見受けられます。それが、このヤノフスキが指揮をしているワーグナーとのベストマッチなのか、という点ではちょっと首をかしげざるを得ませんが、ここで登場しているベルリン放送合唱団に関しては、見事にそのソノリテが生かされているのではないでしょうか。今回から合唱指揮者がエーベルハルト・フリードリッヒからニコラス・フィンクに替わったようですが、この合唱団の柔らかく伸びやかな響きは絶品です。特に男声だけの「巡礼の合唱」などは、もしかしたらワーグナーの舞台作品としてはちょっと方向が違うのでは、と思う向きもあるかもしれませんが、音楽としてはとてつもない感動が与えられるものです。このシリーズがコンサート形式の公演だったことが、これほどの素晴らしい結果をもたらしたのでしょう。
タイトル・ロールのロバート・ディーン・スミスも、やはりコンサートのメリットを存分に生かして、最後の「ローマ語り」でベスト・コンディションになるように絶妙のペース配分を行っていました。しかし、そのために犠牲になったものは、あまりに大きすぎます。
なんと言っても光っていたのは、ゲルハーエルのヴォルフラムでしょう。こちらはそんな小細工はなしで、最初から最後まで絶妙の表現を聴かせてくれていました。もちろん、「夕星の歌」のオーケストラも、ソロアルバムの比ではありません。

SACD Artwork © PentaTone Music b.v.
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by jurassic_oyaji | 2013-04-25 22:51 | オペラ | Comments(0)