おやぢの部屋2
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ALLELUIA
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Julia Lezhneva(Sop)
Giovanni Antonini/
Il Giardino Armonico
DECCA/478 5242




ロシアの新星ユリア・レージネヴァ(ロシア風だと「レズネワ」が正しいのでしょうが)のデビュー・アルバムは、おととしNAÏVEから出ていましたが、ついにDECCAから「メジャー・デビュー」となりました。最近はクラシックに関しては何が「メジャー」なのかはよく分からない状態ですが、まあ「腐っても鯛」ということで。
前回はロッシーニのオペラアリア集でしたが、今回は4人の作曲家によるモテット集です。いずれも最後に「Alleluia(アレルヤ)」という神をたたえるテキストが歌われているので、こんなタイトルになりました。まあ、モテットといっても音楽的にはアリアとレシタティーヴォをつなげたものですから、オペラと変わることはありません。もちろん、「イタリア・オペラ」ですね。歌詞はラテン語ですが。
その「4人」とは、ヴィヴァルディ、ヘンデル、ポルポラ、そしてモーツァルトです。最後のモーツァルトの「アレルヤ」こそ有名ですが、ほかの3曲は聴くのは初めて、そもそもポルポラの作品はこれが世界初録音なのだそうです。
バックはアントニーニが指揮をしているイル・ジャルディーノ・アルモニコ、ブックレットのアントニーニの写真からは、かつてのやんちゃ坊主というイメージは全く消えていて、すっかり「おっさん」になっていたのにはびっくりです。彼ももはや40代後半ですから、それ相応の風貌なのでしょうが。
しかし、最初のヴィヴァルディのイントロは、相変わらずのハイテンションで、まずは一安心、これはもう1曲目からコロラトゥーラの嵐ですから、レージネヴァにとっては聴かせどころ、心地よい高揚感とともに、完璧なテクニックを披露してくれます。レシタティーヴォを挟んで今度はかわいらしいアリアが登場しますが、こちらも魅力満載です。彼女の声はちょっと低めで、貫録のようなものまで感じられます。
ヘンデルの曲の場合は、さらに「アダルト」な雰囲気が漂います。曲の作り方はやはりヴィヴァルディより丁寧で、より深みのある趣ですね。
ポルポラになると、装飾の付け方に独特の味があることが分かります。トリルともビブラートともつかない、不思議な歌い方があちこちに出てくるのですね。このあたりも、時代の先端を行った作曲家の「企業秘密」だったのでしょうか。この3人、同じバロックの時代にあって、最後の「アレルヤ」ではそれぞれに個性を披露しているのが、面白いところです。ヴィヴァルディはひたすら生真面目に、ヘンデルは三連符を使って優雅に、ポルポラはさらに華やかに、でしょうか。
モーツァルトになると、同じイタリア・オペラであっても、作曲様式は全く変わっていることが分かります。3曲目の「Tu virginum corna」などは、まさに「古典」という落着きよう、レージネヴァは、重心の低い安定感のある歌い方で、さらにその「違い」を強調してくれています。
そして、最後の「アレルヤ」では、メリスマの頭にちょっとした「タメ」を作るなど、いかにもモーツァルトらしい表現を聴かせてくれます。それにしても、彼女のテクニックは驚異的、何しろ、後半の長いメリスマを、19小節間ノンブレスで歌いきっているのですからね。そして、エンディングはオクターブ高く歌うヴァリアントを採用、最高音の「C」(実際の音は「H」ですが)をものの見事に決めていますよ。声の質が低いので高音は苦手かな、と思っていたら、あっさりとこんな完璧な「技」を披露してくれるのですから、もう感服です。
バロック・ヴァイオリンの音にちょっと刺激が足らないのは、やはりSACDではなかったせいでしょうか。もっと個々の楽器の生々しさが聴こえれば、ソリストとオーケストラとの対決がより楽しめたのに。

CD Artwork © Decca Music Group Limited
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by jurassic_oyaji | 2013-04-29 22:26 | オペラ | Comments(0)