おやぢの部屋2
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DURUFLÉ/Requiem
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Éditions Durand
DF 13485(Study Score)




デュリュフレの「レクイエム」は手に入る限りのCDを集めているぐらい大好きな作品ですが、なぜかそのスコアは今まで見たことがありませんでした。実際に歌ったことまであるのに、印刷されたヴォーカル・スコアすら、手にしたことがないのですね。というのも、その演奏が行われたのはかなり昔のことで、まだ今のように簡単に輸入楽譜が手に入る時代ではなく、指揮者自らが手書きで作った合唱譜をコピーして使っていたのですよ。そんな、なんとものどかな時代でした。今そんなことをやったら、そういうことには常に神経をとがらせている埼玉県合唱連盟のさる理事などは、かんかんになって抗議してくることでしょう。
さすがにいまでは、まずどんな楽譜を買うにも不自由のない状態になりましたから、機会あるごとにこのスコアを求めようとするのですが、なぜか現物には出会えませんでした。そんな入手困難だったはずのスコアが、最近別の用事で立ち寄った銀座の楽器店には、「売るほど」置いてあったではありませんか。裏表紙を見てみると、それは2011年に新しく印刷されたもののようでした。しかし、版下自体は1950年に最初に出版されたものがそのまま使われていて、かなり汚い印刷面ではありましたが、そんなことは全然構いません。ミスプリントが1ヵ所即座に見つかるほど、ある意味いい加減なのも、また味がありますし。
この作品は、もちろんこのフル・オーケストラのバージョンがオリジナルの形です。しかし、現在この編成による録音はそれほどたくさんあるわけではありません。最も演奏機会が多いのは、合唱とオルガンのためのバージョン、それに次いで、オーケストラの楽器編成を縮小したバージョンでしょう。詳細は、こちら
しかし、今回改めてスコアを見てみると、これらのリダクション、あるいは縮小バージョンはいかにも「代用品」のようにしか感じられなくなってしまいます。デュリュフレの楽器の使い方には、フル・オーケストラならではの色彩感とダイナミクスが満載ですが、それはこの作品にとって欠くべからざる要素であることに、改めて気づかされます。例えば、コール・アングレやバス・クラリネットといった特殊楽器の使い方が非常に巧みで、それはほかの楽器では決して出せないような絶妙な音色を提供しています。それをオルガンで代用すると、その魅力が全くなくなってしまうのですね。あとは、単なるロングトーンでも、オルガンのパイプから出てくる感情のない音と、フルーティストが表情を込めて演奏しているものでは存在感が全く違ってしまいます。
実際にスコアを見るまで分からないこともありました。「Pie Jesu」の弦楽器にはヴァイオリンが入っておらず、「ヴィオラ以下」で演奏されているのです。これはまさに、デュリュフレがモデルとしたフォーレの「レクイエム」と同じ編成ではありませんか。確かに、この曲の落ち着いた雰囲気はヴィオラだからこそ醸し出されるものでした。もちろん、オルガンだけでその違いを出せるわけはありません。
もう1か所、最後の「In Paradisum」では冒頭のチェレスタによる鐘のような響きが印象的ですが、この楽器は実は最後の3つの小節でもそれぞれ2拍目に入っていることを初めて知りました。というか、改めて全てのCDを聴きなおしてみると、このチェレスタの音が聴こえるものはほとんどありませんでした。実は最後の和音が「ナインス」であることもスコアを見て初めて分かったのですが、その7音と9音をチェレスタが出しているのです。7音は合唱も出していますが、9音をほかに出しているのは4つに分かれたヴィオラの一番上のパートだけ、こんな重要な音が聴こえないんすよ。そんな指揮者(あるいはエンジニア)の耳を疑ってしまいます。
ちなみに、この最後のチェレスタの音が最もはっきり聴こえてくるのが、1950年代のデュリュフレ自身の指揮によるERATO盤です。
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Score Artwork © Universal Music Publishing Group
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by jurassic_oyaji | 2013-05-01 20:43 | 書籍 | Comments(0)