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HOFFMEISTER/Flute Concertos Nos. 21 and 24
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Bruno Meier(Fl)
Prague Chamber Orchestra
NAXOS/8.572738




今回のCDでフルートを吹いているブルーノ・マイアーのサイトに行ったら、このCDのジャケットが2種類ありました。一つは「インターナショナル・エディション」、もう一つは「ドイツ・エディション」なのだそうです。このアイテムの場合は、「ドイツ」の方が「インターナショナル」より10ヶ月も早くリリースされていました。
このレーベルでマイアーが取り組んでいるのは、フランツ・アントン・ホフマイスターのフルート協奏曲の全曲録音です。モーツァルトが生まれる2年前、1754年に生まれたホフマイスターは、最初は法律家を目指して勉強していましたが後に音楽家、あるいは楽譜出版業者として、ウィーンで活躍することになります。そのどちらの職業にも比類ない才能を発揮したというマルチ人間でした。作曲家としては9曲のオペラ、60曲以上の交響曲、40曲以上の弦楽四重奏曲など、あらゆるジャンルで膨大な作品を残しています。協奏曲の分野でも、有名なヴィオラ協奏曲をはじめ、フルート協奏曲だけで25曲も作っているそうです。それこそ、同時代のモーツァルトのピアノソナタを、フルート四重奏曲に編曲したものなどは、多くのフルーティストが録音していますね。
フルート協奏曲に関しては、現在入手できるCDはほとんどなく、番号などはかなり混乱している状況にあります。唯一手元にあるイングリット・ディングフェルダーが1979年に録音したENIGMA/BRILLIANTCD(左)には、「ニ長調」と「ハ長調」の協奏曲が収録されているのですが、「ニ長調」の元になったNONESUCHLP(右)のライナーノーツには「1800年に作られた『第6番』」と書かれていて、今回の「24番」が作られた1795年より後の作品となっているのですからね。このCDに関してはもっと不思議なことがあって、「ハ長調」を聴いてみたら、それはランパル校訂の楽譜がIMCから出版されていた「ト長調」の協奏曲と全く同じものでした。
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そんな風に、何が何だかわからない状況ですから、今回のNAXOSによる「全集」には大いに期待できるところなのですが、とりあえずこの「第1集」のライナーを見たところでは、今回の収録曲がどのような位置にあるのかという全体像は全く分からなかったので、ちょっとがっかりです。それでも、この「21番」と「24番」さらに、ドイツではすでにリリースされている「第2集」に入っている「161722番」の5曲が「世界初録音」であることだけは分かります。
しかし、もっとがっかりしたのはこの演奏家です。モイーズ、ジョネ、グラーフというそうそうたる名人に師事したこのスイスのフルーティストを聴くのは今回が初めてですが、昔はさぞやしっかりしたテクニックと音楽性を持っていたのだろうな、とは思えるものの、もはやそれはすっかり過去のものになっていることを痛感せざるを得ないほどの、どうしようもない演奏だったのです。最初のトラック、「第24番」の第1楽章ではオクターブの跳躍が頻繁に現れます。これはホフマイスターの得意技、これが決まらないことにはこの作曲家の曲は演奏できないのですが、これがまずボロボロなのですよ。第2楽章のレントは全く歌えていませんし、第3楽章のロンドは信じられないほど遅いテンポで、軽快さがまるでありません。要は、自分が吹けるテンポで演奏しているだけなのですよ。
ですから、帯解説を書いた日本の代理店の担当者のような、何も知らない人にとっては、これは「驚くほどの超絶技巧が駆使されているわけではありません」という風に思えるのでしょうね。でも、さっきのディングフェルダーの演奏を聴いたり、実際に自分で吹いてみたりすれば、それはとんでもない誤解であることが分かります。ホフマイスターがそういう作曲家だと思われてはたまったものではありません。そういうフルーティストであるマイアーが、協奏曲を全曲録音しようとしているのですから、これはかなりヤバいこと、「まあいいや」では済まされません。

CD Artwork © Naxos Rights US, Inc.
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by jurassic_oyaji | 2013-05-03 21:51 | フルート | Comments(0)