おやぢの部屋2
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MOZART/Requiem
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Edward Higginbottom/
Choir of New College Oxford
Orchestra of the Age of Enlightenment
NOVUM/NCR1383




イギリスには数多くの教会の聖歌隊をベースとした合唱団があって、合唱界のベースを支えています。そんな中で、先日モーツァルトの「レクイエム」の新しい録音を発表したケンブリッジ・キングズ・カレッジ合唱団あたりは、録音の数ではおそらくトップクラスとなるのでしょう。何しろここは、昔から、イギリス最大のレーベルであるEMIの、ほぼ「専属」でしたからね。
CDのリリースでは「キングズ」と肩を並べているのが、オクスフォード・ニュー・カレッジ合唱団でしょう。1976年から指揮者を務めているヒギンボトムとの録音だけでも、80枚近くになるのではないでしょうか。こちらは、特定のレーベルからではなく、多くの、どちらかといえばマイナーなレーベルが主体。メインはCRDASVHYPERIONといったイギリスのレーベルですが、ERATOのようなかつてはインターナショナルなレーベルからのリリースもありました。しかも、なんとあのNAXOSからも、「ヨハネ」や「メサイア」を出していたなんて。
そのERATOから1996年にリリースされたAGNUS DEIという、バーバーの「Agnus Dei」をメインに据えたヒーリング・アルバムが、全世界で大ブレイクしたために、この合唱団の知名度が一気に高まったという「事件」もありましたね。このアルバムには、日本では「アダージョ・ア・カペラ」といういかにもな「邦題」が付けられていたような気がします。確かに、バーバーの作品は彼の「弦楽のためのアダージョ」をア・カペラの合唱に編曲したものでした。
「キングズ」が自主レーベルを作るより先に、「ニュー」は2008年にすでに自主レーベルからのリリースを始めていました。今回の、やはり「キングズ」よりも先、2010年の6月に録音されたモーツァルトの「レクイエム」は、その「NOVUM(ラテン語のNEW)」レーベルの5作目としてリリースされたものです。現在までにこのレーベルからは8枚のCDが出ています。
ご存知のように、この合唱団はソプラノとアルトを変声期前の少年が担当するという、典型的な聖歌隊の編成です。男声パートも、若い人たちばかりです。今回の「レクイエム」の特徴は、ソリストもすべて合唱団のメンバーが務めているという点でしょう。以前にもそのようなものはなかったわけではありませんが、それは女声のソリストだけで、男声は普通の「ソリスト」が使われていたはずです。ここでは、男声ソリストまで合唱団員という、聴いたことのある録音の中では初めての試みがなされています。
その試みは、大成功を収めていたのではないでしょうか。「Introitus」でソプラノ・ソロが「Te decet hymnus Deus in Sion」と入るところは、ホグウッド盤でエマ・カークビーが歌うのを聴いて以来、あのようなピュアな声しか受け付けないようになっていて、どんな大物歌手でも常に不満が付きまとっていたものですが、ここで歌っているジョンティ・ウォードくんには大満足です。決してコーラスから乖離しないサウンドが、とても好ましく感じられます。
アルトのジェームズ・スウォッシュくんは、さすがに低音などは苦しそうですが、それもほんの一部、とても立派な声を聴かせてくれています。男声パートは重みこそありませんが、とても爽やか、「Tuba mirum」のバスのソロが、こんなにも心地よく聴けたのは初めてです。テノールも伸びのある声、この4人が一緒になったアンサンブルは、まさに「ソリストが4人」ではなく「一番小さなコーラス」という感じで、なかなかのものですよ。
もちろん、合唱に力があるのは以前から分かっていましたから、何の不安もありません。ピリオド楽器の渋いサウンドと一体となって、とても心に響く「レクイエム」が出来上がりました。
ただ、「キングズ」のレーベルがSACDを提供してくれているのに、「ニュー」はCDというのは、録音そのものは、こちらの方がずっと「いい音」なので、すごくもったいない気がします。

CD Artwork © New College Oxford
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by jurassic_oyaji | 2013-05-09 20:13 | 合唱 | Comments(0)