おやぢの部屋2
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BEETHOVEN/Symphony 4 & Symphony 7




Philippe Herreweghe/
Royal Flemish Philharmonic
TALENT/DOM 2929 100(hybrid SACD)



まさにたった今、すみだトリフォニーホールでベートーヴェン連続演奏会の真っ最中のヘレヴェッヘとロイヤル・フランダース・フィルの、そのベートーヴェン全集の劈頭を飾るアルバムが手元に届きました。ヘレヴェッヘのベートーヴェンと言えば、1998年にHARMONIA MUNDIに録音した「第9」がありましたね。その時のオーケストラはオリジナル楽器の団体であるシャンゼリゼ管でしたが、今回は彼が音楽監督を務めるベルギーのモダン・オーケストラ、レーベルもベルギーのTALENTです。もちろん、ハワイではありません(それは「フラダンス」)。
このような、オリジナル楽器の団体と深い関係を持っていた指揮者とモダン・オーケストラという組み合わせでは、古くはジンマンとチューリッヒ・トーンハレ、最近ではノリントンとシュトゥットガルト放送交響楽団というコンビが注目されていましたね。いずれも、現代のオーケストラにオリジナル楽器特有の奏法を用いさせたり、一部の楽器はオリジナルそのものを使用したりして、古典派、ロマン派のレパートリーをよりその当時に近い形で演奏するという試みを行っていました。その結果、あまりにも恣意的で大方の賛同を得ることはついに叶わなかったジンマンのような失敗例はありますが、ノリントンたちのように、その確かな音楽性を以て、今まで誰もなしえなかった新鮮なベートーヴェン像を送り届けることに見事に成功した団体もあったのです。もちろん、ノリントンの場合でも、極端に従来とかけ離れたテンポ設定や、唐突な表現などには多少の違和感がなかったとは言えませんが、それは彼のもたらす生命力あふれるエモーションで充分にカバーできたことでしょう。
そして、今回のフランダースです。まず耳を惹くのは、ガット弦による弦楽器の美しさ。単に音色だけではなく、多くの弦楽器が同時に弾かれた時の「マス」としての存在感が、とても素敵。それは、オリジナル楽器の素朴さと、モダン楽器の華麗さの良いところだけをとって精製したような、独特の「フワフワ感」を持つものでした。管楽器も極力ビブラートを押さえて、見事にこの弦楽器との調和を保っています。そこへ、おそらくかなりオリジナルに近い楽器だと思われるティンパニが加わります。このティンパニ、その粗野な響きは「ピュア」な弦と管の中にあって、確かなアクセントとして機能しています。トゥッティでの華やかさはもちろんですが、例えば「4番」の第2楽章で少し堅めのバチを用いて叩かれるソロなどは、とても魅力的です。
ヘレヴェッヘの指揮は、以前ブルックナーで感じたものと同じ、至るところで彼の持ち味である流れるような「歌」を存分に楽しむことが出来ます。彼の合唱でのキャリアを持ち出すまでもなく、そこにあるのは人間の生理に逆らわない自然な音楽です。その好例は「7番」の第2楽章。「ミー、ミ、ミ、ミーミー」という無機的なテーマに、彼はなんという「歌」を込めているのでしょう。中間部の木管は、まるでよく訓練された合唱団のように、均質な響きで迫ってきます。ここには、モダン、オリジナル、といった範疇を超えた、真に「美しい」音楽が、最高の形で息づいています。
楽譜についてはライナーにはなんのコメントもありませんが、ベーレンライター版を用いているのは明らかです。個々の楽器の粒立ちが見事に聞こえてくる卓越した録音のおかげで、それは容易に確認することが出来ます。というより、ことさら言及しなくてもすでにこのエディションは心ある演奏家の間ではすでにスタンダードとなっているのだと受け止めるべきなのかもしれません。
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by jurassic_oyaji | 2005-06-09 19:56 | オーケストラ | Comments(0)