おやぢの部屋2
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NIELSEN, IBERT/Flute Concertos
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Thomas Jensen(Fl)
Giordano Bellincampi/
South Jutland Symphony Orchestra
DANACORD/DACOCD 725(hybrid SACD)




このDANACORDというデンマークのレーベルにとっては初めてのSACDなのだそうです。となると、誰が録音しているのか気になりますが、クレジットを見てみると「Timbre Music」というロゴがありました。これは、同じデンマークのレーベルDACAPOでもおなじみの、あのDXDを駆使した最強の録音チームではありませんか。フルートの録音ではなかなかSACDにお目にかかれないので、ベタな曲目ですし、演奏者も全く知らない人だったのについ手を出してしまったら、こんなところで彼らに出会えるとは。
フルートを吹いているのはトーマス・イェンセンという人です。同姓同名でやはりデンマークの作曲家がいますが、その方とは全く無関係、ここでバックを務めているオーケストラ、南ユトランド交響楽団のソロ・フルーティストです。このレーベルには、フルート関係者にとってはとっても重要なデンマークの作曲家、ヨアヒム・アンデルセンのフルートのための作品全集(7巻)を録音しています。生まれたのは1949年ですから、もうすでに還暦を迎えられていますが、しっかり現役として活躍しているようですね。
アルバムの最初は、やはりデンマークの作曲家ニルセンの協奏曲です。フルーティストにとっては、コンクールの課題曲になったりもしているほどの非常に有名な曲ですが、今まで多くの人の演奏を聴いてきても、実はあまり魅力を感じたことがありませんでした。しかし、今回は何か違います。まず、この、すべての楽器を立体的に聴かせてくれるハイレゾの極致ともいうべき録音によって、とらえどころのなかったオーケストレーションが、しっかり意味を持って伝わってきたのですね。優れた録音というのは、こういうものなのでしょう。ただの「音」ではなく、しっかり「音楽」を伝えてこその録音だということに、思い知らされます。
もちろん、この録音からは、フルートも元の音から何もなくなっていませんし、何の余計なものも加わっていないという、まさにあるべき姿で伝わってきます。そうすると、ソロのフレーズにも、今まで感じられなかった「なにか」が宿っていることがはっきり分かるのですね。このイェンセンさんは、テクニックも表現力もとても素晴らしい方で、この年になってもそれが全く衰えていません。しかも、そんなスキルをこれ見よがしに披露するというのではなく、ニルセンが書いた音符をありのままに再現することにすべてをささげているような気がします。それだけのことで、この作品が今までとは全く違った聴こえ方をするというのは、やはり同じ国民が持つシンパシーのなせる業なのでしょうか。
イベールの協奏曲についても、やはりオーケストラの存在感が今まで聴いてきたものとは一味違っていました。というか、正直とても難しいソロのパートについ耳が向きがちで、オーケストラなどどうでもよかったものが、今回はしっかりオーケストラまで聴きこんでみたくなるような録音だったのです。録音が、それぞれのプレーヤーの気持ちまでも拾い上げてくれていた、ということなのかもしれません。
となると、今度はそんな超ハイテクを要求されるソロ・パートに、まさに全力で立ち向かっているイェンセンさんの姿までもが手に取るようにはっきり浮かび上がってきます。ほんのちょっとしたほころびがあったりすると、一緒になってハラハラしたりしながら、どうか無事に最後まで吹ききってほしいと応援したくなったりするという、すごいライブ感です。
こんな大曲の間に、もう2曲演奏されていました。まず、最近とんと演奏されることが無くなったグリフィスの「ポエム」です。ちょっと「さくら貝の歌」に似ているテーマが出てきて和む曲ですね。そして、もう1曲はマルタンの「バラード」の弦楽合奏とピアノによるバージョンです。ちょっと前にパユで聴いた曲が、やはりしっかりと現実味を帯びて伝わってきましたよ。


SACD Artwork © Danacord
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by jurassic_oyaji | 2013-05-19 20:36 | フルート | Comments(0)