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Jazzkonzert in der Philharmonie Berlin




Thomas Quasthoff(Bar)
The Berlin Philharmonic Jazz Group
IPPNW/CD 49



今までも何回かとりあげたIPPNW、つまり「International Physicians for the Prevention
of Nuclear War
」日本語だと「核戦争防止国際医師会議」となる団体が主催しているコンサートのCD、今回は、2004年の9月にベルリンのフィルハーモニーという、あのベルリン・フィルの本拠地で行われたジャズのコンサートのライブ録音です。昔だったらオーケストラのコンサート会場でジャズとは、と、眉をしかめる人もいたかもしれませんが、今時そんなことを言ったりしたら笑われてしまいます。なにしろ、そのベルリン・フィルでさえ、大晦日のコンサートではジャズシンガーをゲストに迎えてガーシュインをやったりしているのですからね。その、ダイアン・リーヴスが参加した2003年の「ジルヴェスター・コンサート」の時に、ヴィオラ奏者の人が本格的なソロを聴かせてくれたのには驚いてしまいましたが、それもそのはず、彼は他のベルリン・フィルのメンバーと一緒に、プロフェッショナルな「ジャズ・バンド」を作っていたのですよ。そう、種明かしをしてしまえば、その「ベルリン・フィルハーモニック・ジャズ・グループ」のコンサートが、このCDのコンテンツだったのです。
ヴァイオリン(トランペットと持ち替え!)、ヴィオラ、ヴァイブ(もちろん「ビブラフォン」。他のものを想像した人っ?)、そしてドラムスとベースというユニークな編成、その2本の弦楽器のユニゾンが、ちょっと他では聴けない独特な持ち味を醸し出しています。その、かなりクールなジャズも大いに楽しめるのですが、このコンサートではもう一人、ものすごいゲストが登場します。それはヴォーカルのトーマス・クヴァストホフ。ご存じ、リートや宗教曲、そして最近ではオペラでも大活躍のあのバリトンが、ジャズ・ヴォーカルを披露してくれるというのですから、これは楽しみです。しかし、それは「楽しみ」などという生やさしいものではありませんでした。この名バリトンが別のジャンルで見せてくれた才能には、心底から脱帽させられてしまったのですから。
「ミスティ」や「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」のようなスローバラードでの、彼のなめらかな甘い歌声はどうでしょう。ここには「クラシック」の押しつけがましさなど微塵もない、完璧な「ジャズシンガー」の姿があります。サッチモのだみ声を真似したり、ソロのトランペットに合わせてバズィングをしたりという余裕すら。「ソング・フォー・マイ・ファーザー」でのスキャットも、堂に入ったものです。しかし、本当に驚かされたのは、「ソロインプロヴィゼーション」というタイトルの、彼自身の曲です。クヴァストホフがたった一人の「ソロ」で繰り広げたものは、こんなことはこの人にしか出来ないのでは、と思っていたあのボビー・マクファーレンの神業の世界だったのです。ブルース・コードに乗ったスィンギーなベースラインを歌いながら、ありとあらゆるテクニックを駆使して聴かせてくれる「インプロヴィゼーション」、しかも、会場のお客さんのリアクションを聴いても分かるように、それは完璧なエンタテインメントでもあったのですよ。
それに続くジョビンのボサ・ノヴァ、「波」や、最後のナンバー、軽快なジャズ・ワルツにアレンジされた「サマータイム」を聴く頃には、すっかりこの超辛の「ジャズシンガー」のファンになってしまっていました(タバスコ豊富)。もし映像があったなら、特に「ソロ」はぜひ見てみたいものです。
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by jurassic_oyaji | 2005-06-11 20:24 | ポップス | Comments(0)