おやぢの部屋2
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WAGNER/Organ Fireworks
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Hansjörg Albrecht(Org)
OEHMS/OC 690(hybrid SACD)




ワーグナーの作品をオルガンで演奏しようというアルブレヒトの企画、今回は以前の「リング」に続いて、ワーグナーの舞台作品の序曲や前奏曲を集めて一つの作品のように聴かせるという、ユニークなものでした。ちょっと変則的な交響曲のような5楽章の構成で、第1楽章は「Introduktion」で「タンホイザー」序曲、第2楽章は「Adagio」で「パルジファル」前奏曲、第3楽章は「Scherzo」で「オランダ人」序曲、第4楽章は「Intermezzo」で「トリスタン」前奏曲、そして第5楽章は「Finale」で「マイスタージンガー」前奏曲という割振りです。まあ、なんとなく分かるような、分からないような当て方ですが、このようなアイディアはアルブレヒト自身のものなのでしょう。
彼のアイディアはもう一つあって、ライナーの中では、なんとアルブレヒトとワーグナーとの「対談」が実現しているのですから、驚きます。「今のオルガンの技術はすごいですよ!」みたいなことを「巨匠」と語っているのですからね。
そのライナーのトラックリストを見て気になったのが「WWV」という文字です。ホームページじゃないですよ(それは「WWW」)。おおかた察しがつくはずですが、これはワーグナーの作品番号ですね。「Wagner-Werk-Verzeichnis」の頭文字をとったもので、最近新しく録音されたCDではよく見かけられます。実際は、ジョン・デスリッジ、マルティン・ゲック、エゴン・フォスという3人の音楽学者にはよって編纂され、1986年にSchottから出版された「Verzeichnis der musikalischen Werke Richard Wagners und ihrer Quellen(リヒャルト・ワーグナーの音楽作品の目録と、その資料)」という書籍に掲載されている作品リストで、作曲年代順に番号が付けられています。文字通り、ここにはワーグナーが作ったすべての曲が収められていて、その数は全部で113曲にも上ります。しかも、「リング」などはそれだけで「WWV86」と一つの番号、それぞれの作品は86aから86dとなっていますから、今普通に上演されるオペラだけでは番号は10個もないことになります。他の作品がそんなにたくさんあったのですね。せっかくのワーグナー・イヤーなのですから、そんな「オペラ以外」の作品の全集みたいなものを作るレーベルがあってもいいのでしょうが、今のところ、そんな話は聴こえては来ません。WWV113は児童合唱なのだそうです。ぜひ聴いてみたいものです。
ということで、WWV63の「オランダ人」からWWV111の「パルジファル」までが並んでいるわけですが、実際にそれぞれの曲の編曲を行ったのはアルブレヒトではなく、20世紀初頭にアメリカで活躍したイギリスのオルガニスト、エドウィン・ヘンリー・ルメアと、ブルックナーのオルガン曲(オリジナルと編曲)を演奏したCDなどをリリースしている現代のオルガニスト、エルヴィン・ホルンの2人です。誰がどの曲の担当なのかまでは分かりませんが、「パルジファル」あたりはちょっとセンスが違うような気がするので、もしかしたらホルンさんの仕事なのかもしれません。
確かに、この「アダージョ」は、編曲も演奏もとても素晴らしいもので、比較的珍しい曲ですので、コアなワーグナー・ファンでなければ、最初からオルガンのために作られたものだと思うかもしれないほど、オルガンに馴染んでいます。聴きなれた人でも、ここからまるでフランクのオルガン曲のような味わいが感じられて、驚かされるかもしれませんよ。
ただ、その他の曲は、やはり本来のオーケストラ・バージョンをなぜわざわざオルガンで聴かされなければならないのか、という思いについかられてしまうような、ありふれた、というか、ちょっとインパクトに欠けるものでした。トランペットの合いの手は、いったいどこに行ってしまったのだろう、とか、有名な曲ならではの辛さがつい露わになってしまいます。
それと、相変わらず「帯」の校正はいい加減。
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SACD Artwork © OehmsClassics Musikproduktion GmbH
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by jurassic_oyaji | 2013-05-27 21:00 | オルガン | Comments(0)