おやぢの部屋2
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PENDERECKI/Piano Concerto・Flute Concerto
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Barry Douglas(Pf)
Lukasz Dlugosz(Fl)
Antoni Wit/
Warsaw Philharmonic Orchestra
NAXOS/8.572696




おなじみ、ヴィットとワルシャワ・フィルによるペンデレツキ、今回は割とメジャーな、ということは、すでにほかの録音があるピアノ協奏曲とフルート協奏曲とのカップリングです。まずは例によって「帯」についてのツッコミから。ここではピアノ・ソロはバリー・ダグラスというバリバリに有名なアイルランドのピアニストですが、フルーティストに関しては全く聞いたことのない名前、ポーランド生まれといいますから、それっぽいスペルで表記されています。実はここに書いた「L」は、文字に斜め線が入ったPCでは下手をすると文字化けしてしまうポーランド語特有のアルファベットなのですよ。これは「エル」ではなく「エウ」という文字で、英語の「W」に近い音の子音です。ですから、このフルーティストの名前は決して「帯」に書かれているように「ルーカス」などと呼ばれることはなく、「ウーカシュ」という、ほとんど別人の名前のように発音しなければなりません。フルネームだと「ウーカシュ・ドウゴシュ」ですね。確かに、さるフルートメーカーのサイトに、この帯のような「ルーカス・ドゥルゴスツ」という表記が見られますが、別の、もっと信頼のおけるメーカーでは、ちゃんと「ウーカシュ・ドウゴシュ」となっていますから、これはそんないい加減な表記を信用した担当者の完全なミスですね。
「帯」への突っ込みは続きます。ここで担当者は、ピアノ協奏曲でこのチャイコフスキー・コンクールでの優勝者がペンデレツキなどを演奏していることにさも意外なフリをしていますが、実は、彼がこの曲を演奏したCDは、すでに2003年に録音されているのですよ。このサイトでもこちらで現物を紹介しているぐらいですから、プロである帯原稿担当者がこれを聴いていないわけはないのですね。ただ、この時には改訂前のものを演奏していたものが、今回は2007年に改訂された楽譜を使っています。プロならば、むしろそのあたりきっちり押さえるべきなのに。
手元に楽譜があるわけではないので、初稿と改訂稿の違いを正確に語ることは不可能ですが、とりあえず耳で聴いただけではっきり分かる違い、それも、かなり重大な変更があることは確認できました。それは、曲の大詰め近く、今回のCDではトラック8の「Andante maestoso」の終わりの部分です。ここでは、まるでチャイコフスキーの「1812年」のクライマックスのように、ロシアの聖歌のようなものが壮大な盛り上がりを見せるのですが、初稿ではそのあとに前もって録音されていたたくさんの鐘の音が鳴り響きます。ところが、改訂稿ではその部分がスッパリとカットされているのです。ペンデレツキとしては、つい調子に乗ってすっかりチャイコフスキーの世界に入り込んでしまったのでしょうが、あの鐘の音があったのでは、あの部分がもろ「1812年」のパクリであることが誰にでも分かってしまいますから、冷静になった時にこれではいくらなんでもまずい、と気が付いたのでしょう。これは、とても賢明な判断でした。今さらそんなことにこだわってどうするのだ、と言う気もしますがね。
そして、そのあとも、初稿ではこれももろラフマニノフのパクリである冒頭のテーマが現れて、そのまま終わるのですが、改訂稿ではそのあともうひとくさり、いかにも深い情感をたたえたように聴こえる部分が演奏されてから終わっています。
フルート協奏曲の方は、1992年にランパルのソロによって初演されています。実は、この曲は、「なんと」このNAXOSレーベルにすでに1997年にペトリ・アランコによって録音されたものがあるのですね。今回の「ドウゴシュ」の演奏は、アランコ盤とは録音のポリシーが全然異なっていて、ソロや、それに絡む別の楽器がとてもはっきり聴こえますから、同じ曲なのに全く別の味が楽しめます。「帯」の担当者は、自社製品なのにきっとこのアランコ盤(8.554185)は聴いたことがなかったのでしょう。
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CD Artwork © Naxos Rights US, Inc.
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by jurassic_oyaji | 2013-05-29 20:48 | 現代音楽 | Comments(0)