おやぢの部屋2
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WEBER/Der Freischütz
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Christine Brewer(Agthe), Sally Matthews(Änchen)
Simon O'Neill(Max), Lars Woldt(Kasper)
Colin Davis/
London Symphony Chorus & Orchestra
LSO LIVE/LSO0726(hybrid SACD)




サー・コリン・デイヴィスは、この4月に85歳で故人となられました。最後のポストとなったロンドン交響楽団の首席指揮者・総裁として、このLSO LIVEレーベルからは50枚近くのSACDをリリースしてきましたが、その最新のものが、この、2012年4月に録音された「魔弾の射手」です。実は、それよりもっと新しい、同じ年の6月に録音されたベルリオーズの「レクイエム」は、すでに市場に出回っています。はたして、それ以降に録音されたものは残っているのでしょうか。
ウェーバーの「魔弾の射手」といえば、「最初のドイツ・オペラ」として有名な作品ですが、序曲や第3幕で歌われる「狩人の合唱」などが独立した曲として親しまれている割には、オペラ本体はそれほど頻繁に上演されているわけではありません。でも、序曲の中に登場するテーマが、物語の中では何度も聴こえてきますから、初めて聴いた人でもある意味「デジャブ感」によって簡単に入って行けるのではないでしょうか。ただ、冒頭のホルン四重奏による本当に有名なテーマは、いくら待っても出てきませんからご用心。
ただ、「オペラ」とは言っても、この作品はモーツァルトの「魔笛」と同じように、「ジンクシュピール」という、普通のセリフの間に音楽が挟まっている形をとっています。この辺がイタリア・オペラとの最大の違い、あちらはレシタティーヴォ・セッコとして全てのセリフを歌にしていますが、ドイツ人にはそんなことはちょっと恥ずかしくてできなかったのでしょうか。セリフはセリフ、歌は歌、ときっちり分けたい性分なのかもしれませんね。
という、ある意味この作品のキャラクターであるセリフが、このSACDではすべてカットされています。いや、そもそもこのライブ録音の元の演奏自体が、コンサート形式ということもあってセリフの部分はカットしていたのですよね。確かに、セットの中で衣装を着た人たちがセリフをしゃべっているのなら分かりますが、燕尾服を着た人が譜面台を前にしてセリフというのは、かなり恥ずかしいものなのでしょう。その代わり、コンサートでは英語のナレーションが入っていたそうですが、それもSACDではカットされました。
そうなると、本来は物語の進行がセリフで語られているので、歌だけを聴いているとあまりの唐突な展開に戸惑ってしまうことでしょうが、それは「お約束」ということで、前もってきちんとあらすじなどは頭に入れておく必要があります。なんたって、クラシックを聴くときには、それなりの「予習」が必要なのですから。
ですから、逆にこのような録音では、物語にとらわれずに純粋に音楽を楽しむことが出来ることになります。素朴な、まるで民謡のような有節歌曲から、本格的なアリア、さらには合唱と、振れ幅の大きな音楽が目白押しですから、対訳を見なくても十分に楽しめるはずですよ。
ここでは、コンサートということで、かなりの大人数の合唱が用意されています。正規の団員以外のメンバーも加えた120人の合唱は、それはものすごい重量感で、オペラハウスではなかなか味わえない迫力を届けてくれます。「婚礼の合唱」や「狩人の合唱」はまさに聴きものです。
ソリストでは、マックス役のオニールが伸びのある声でさすがですし、カスパー役のヴォルトが巧みな表現を聴かせてくれています。それに比べると、女声たちはちょっと張り切り過ぎて音程がヤバくなっていたりして、いまいち、これはライブならではの疵でしょうか。
録音は、今までのこのレーベルの音から一皮むけて、アナログ的な生々しさが加わったものになっていました。最近では「high density DSD」というクレジットが見られるようになりましたが、これはおそらくサンプリング周波数がSACDで使われている2.8MHzではなく、その倍の5.6MHzDSDということなのでしょう。まさに最強のスペックで、何のストレスもない素晴らしい音が楽しめます。

SACD Artwork © London Symphony Orchestra
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by jurassic_oyaji | 2013-05-31 20:45 | オペラ | Comments(0)