おやぢの部屋2
jurassic.exblog.jp
ブログトップ
MENDELSSOHN/Symphonies No3, No4
c0039487_2101879.jpg



Frans Brüggen/
Orchestra of the Eighteenth Century
Glossa GCD 921117




ブリュッヘンと18世紀オーケストラとのメンデルスゾーンです。ジャケットは、前作のベートーヴェンではただのポートレートでしたが、それまでのバッハのような、ミニチュアの写真が復活です。名前をくりぬいたボードを作ったり、この写真を撮るためにはずいぶん手間がかかったことでしょう(面倒ですぞー)。
最近のブリュッヘンの演奏から想像できたように、ここでの「イタリア」も「スコットランド」も、とことん風格をたたえた重たい仕上がりになっています。「イタリア」などは、それこそ「明るい太陽のもと・・・」みたいなイメージが先行している作品ですが、この演奏にはそんなチャラついたところは全くありません。第1楽章などはまるで地を這うような堅実な運びで、浮き立つような感じなどは薬にしたくてもありません。後半の2つの楽章では幾分早めのテンポになっていますが、それは「軽さ」を演出するものでは決してなく、どちらかというとオーケストラに「苦役」を要求しているようにすら思えてくるものです。フィナーレのテンポなどは、木管などは完全に破綻してしまうほどの恐ろしさ、音楽をなめるとこんなことになるのだと戒められているような気になってきます。
もともと暗い「スコットランド」になると、その重さはさらに強調されます。軽やかであってほしい第2楽章などでも、クラリネットがなんともアイロニカルな趣を出していますし、終楽章の重さといったら、ほとんどどん底のような暗さです。その暗さは、長調に変わったとしても晴れることはありません。なんとも救いのない、だからこそ強烈なインパクトが伝わってくるものすごい演奏です。
ところで、日本の代理店が付けた帯には、「イタリア」に関して「1833年原典版」という注釈が加わっています。この曲の版については、ガーディナーのCDのところでその混乱ぶりを指摘したことがありますが、版に関してはそれほどこだわっていないはずのブリュッヘンも、ここでは何らかの主張が込められた楽譜を使っているのでしょうか。
ところが、本体を見てもそんなクレジットはどこにもありません。確かにライナーノーツには「このCDには1833年の第1稿が録音されている」とありますが、だからなんなんだ、という感じです。もちろん、聴こえてくるのはごく普通に演奏されている形のもので、ガーディナー版の日本語のライナーで茂木一衞という人が「1833年当時の原典版」と述べている、そこで初めて録音されたとされるものとは全くの別物なのですよ。改めてガーディナーのジャケットを見直してみると、その初録音は「Revised version」と明記されていますね。ということは、このライナーが間違っているのでしょうか。
もう少し調べると、この件について山岸健一さんのサイトに興味のある記述がありました。このライナーについては、1999年5月号の「レコード芸術」誌上できっちりと「誤記である」と述べられているというのです。現物を見てみると、既にほかのライターが何人もそれについて言及していることまで分かりましたよ。あのライナーを見ていろいろ考えてしまいましたが、なんのことはない、すでにこの時点でしっかり決着がついていたのですね。あくまで出版されたのは第1稿、ガーディナーやホリガーが録音したのは、第2稿だったのですよ。
このライナーは、国内盤が最初に発売された1998年に書かれたものでした。その直後にこれが間違いであることが公になっていながら、2011年にリイシューした時には、その原稿をそのまま使っていたのですね。ユニバーサル・ミュージックはこれからもリイシューのたびにこのライナーノーツをそのまま使い続けるでしょうから、茂木一衞のこの恥ずべき誤記も、未来永劫人の目に触れることになるのです。誤植が見つかれば、増刷の際にはきちんと直すという出版界の常識は、日本のレコード業界では通用しないようです。

CD Artwork © Note 1 Music GmbH
[PR]
by jurassic_oyaji | 2013-06-10 21:02 | オーケストラ | Comments(0)