おやぢの部屋2
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XENAKIS/Synaphaï
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Geoffrey Douglas Madge(Pf)
Elgae Howarth/New Philharmonia Orchestra
Roger Woodward(Pf)
Claudio Abbado/Gustav Mahler Jugendorchester
DECCA/478 5430




この「20C」というシリーズは、文字通り20世紀に作られた作品を網羅しようという企画、1900年から2000年まで(ちょっとはみ出していますが)のすべての年に必ずなにかが入っているという徹底したものです。アルバムとしては作曲家別にリリースされていますが、ブックレットには年ごとのリストがあって、なかなか楽しめます。それぞれの年には、1曲しかないものも有りますが、最高では4曲採用されている年もありますね。例えば1905年はドビュッシーの「海」、シェーンベルクの「ペレアスとメリザンド」、R.シュトラウスの「サロメ」、そしてレハールの「メリー・ウィドウ」というのですから、面白いですね。リストでは、すでにリリースされているものがイタリック体になっていて、普通のフォントのものはもはや数少なくなっています。もうしばらくすると、すでに「20世紀」は「古典」となってしまったことがはっきり認識できるアンソロジーが完成します。
今回はクセナキスが初めて登場です。この、ペンローズ・トライアングルを応用した立体の画像がちょっとかわいいもので、つい買ってしまいました。こういうM.C.エッシャー、あるいは安野光雅の世界がクセナキスと通じていると感じたデザイナーに、拍手。
そして、ジャケットの裏側を見ると、こんな痛々しい写真が。第二次世界大戦中に受けた傷跡がこれほど生々しく写っている写真なんて、初めて見ました。彼のポートレイトといえば、右側から撮ったものか左側が陰になっているものがほとんどですからね。これは、ある意味貴重な写真です。
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内容はこちら1975年に録音されたDECCA音源によるアルバムに、ボーナス・トラックとしてこちらの中に収録されていたORF/DG原盤の「Keqrops」が加わっているというものです。結果的に、クセナキスの3つのピアノ協奏曲の最初と最後のものがカップリングされることになりました。
もちろん、クセナキス自身は「ピアノ協奏曲第1番」のような言い方は決してしない人ですから、その3つには単にタイトルが付いているだけです。「1番」に相当するのがテレビのワイドショーでも紹介されて有名になった「ピアノと86人の演奏家のためのSynaphaï」。1969年に作られて、1971年に初演されていますが、ここに収録されている、マッジとハワースのものが初録音でした。ワイドショーの大井盤は2番目の録音になります。「2番」である「ピアノと88人の演奏家によるErikhthon」は1974年に作られ、同じ年に初演されていますが、録音は大井さんのものしかありません。そして「3番」は1986年にニューヨーク・フィルの委嘱で作られた「ピアノと92人の演奏家のためのKeqrops」です。同じ年にロジャー・ウッドワードと、メータ指揮のNYフィルによって初演されましたが、ここには1992年の第5回ウィーン・モデルンでのアバドとウッドワードによるライブ録音が収録されています。もちろん、これが唯一の録音でしょう(この現代音楽祭は、現在まで毎年欠かさず開催されていることを初めて知りました)。
この2つの協奏曲を並べて聴くことによって、その間に横たわる17年の歳月がクセナキスの作風にも大きな変化を与えていることが如実に分かるはずです。「3番」でピアノ・ソロが一定のビートでアコードを叩きつけるのを聴くと、ついに彼にも人の感情に寄り添った音楽を作ることへの関心が芽生えたことを感じないわけにはいきません。時折五音階の「メロディ」が顔を出す時もありますし。そこまでの境地に達した時、彼のそれまでのグリッサンドやクラスターがどんな意味を持っていたのかを多くの人が理解できるようになるのでしょう。これこそが、作曲家の「成長」に他なりません。もちろん、今の世の中には歳を重ねるとともに「退化」する作曲家の方が圧倒的に多いのは、ご存じのとおりです。そういう人たちは、文字通り「大家」と呼ばれたりします。

CD Artwork © Decca Music Group Limited
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by jurassic_oyaji | 2013-06-22 20:58 | 現代音楽 | Comments(0)