おやぢの部屋2
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BEETHOVEN/Symphonies 5 & 7
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Carlos Kleiber/
Wiener Philharmoniker
DG/00289 479 1106(BD)




今回鳴り物入りで登場したユニバーサルのBDオーディオは、この前聴いたDECCAカウフマンがあまりに素晴らしかったので、DGではどうなのかな、と入手してみたのがこれです。このアルバムでは幸運なことにCDだけではなく、しっかり最初期の段階のハイブリッドSACDと、最近の国内盤のシングルレイヤーSACDが出ていますから、かなり高次元での比較が可能になるはずですが、あいにく手元には2003年のハイブリッド盤しかありませんでした。
予想通り、このBDは、あらゆる面でハイブリッドSACDをしのぐものでした。まずは何の不安もなくたっぷりと伸びている豊かな低音、そして、弦楽器の瑞々しさと管楽器の滑らかさ、さらにはそれぞれの楽器の立体感でしょうか。
BDのクレジットでは、マスタリングに関しての記述は全く見られませんが、ディスプレイでの表示は前回のDECCA盤と同じく24bit/96kHzの2チャンネル音源がPCMDOLBYDTSの3種の中から選べるようになっています。もちろん、聴いたのは非圧縮のPCMです。クラシックには非圧縮
これが、ハイブリッドSACDでは、確かにマスタリングを行った年(2003年)と、エンジニアの名前が表記されています。ただ、その肩書が「New surround mix and new stereo mix」となっているのが、ちょっと気になります。というのも、2003年当時のSACDに対する認識は、今のような「ハイレゾ」の音源というよりは、もっぱら「サラウンド」再生が可能なメディアというものだったような気がするからです。このクライバーの音源は当然2チャンネルステレオなのに、わざわざサラウンドの成分をでっちあげて、そちらの方をメインのセールス・ポイントにしていたのではないでしょうか。2010年にシングルレイヤーSACDとして出た時には、もちろんオリジナルの2チャンネルだけになっていたのは、SACDに本当に求められているものにメーカーが気付いた結果なのでしょう。ただ、そのシングルレイヤーSACDには、確か「2003年のDSDマスター」のような表記があったはずですから、そこで使われたのは2003年の「stereo mix」ということになるのでは。
DSDでは「mix」は不可能ですから、当然最初のデジタル・データはPCMだったはず、それをそのまま提供しているBDと、一旦DSDに変換したSACDとの勝負というのは、すでにショルティの「リング」で違いを見せつけられていました。しかも、SACDは読み取りエラーも考えられるハイブリッドタイプでしたから、この結果は至極当然のことだったのかもしれません。
なんでも、近々ブリテンの「戦争レクイエム」自作自演盤が、BDオーディオでリリースされるそうです。「リング」と同時期のDECCAのスタッフによって録音されたものですから、これも間違いなく素晴らしい音が聴けるはずです。とても楽しみ。
実は、このアルバムを全曲きちんと聴いたのは、これが初めてです。そんないい音で聴いたせいでしょうか、「5番」と「7番」とでは全く音が違っていることがはっきり分かってしまいます。録音会場こそ同じですが、それぞれ年代も録音スタッフも別なのですからそれは当たり前のことです。「5番」でのゴリゴリとした弦楽器の響きは、まるでかつての東ドイツのオケのようですが、「7番」になるとすっかりソフトな落ちついた音に変わって、とても同じオーケストラとは思えません。そんな音の違いが、演奏の印象の違いとなって感じられるのも面白いところです。全くの私見ですが、「5番」ではどこをとってみてもクライバーならではのしなやかなフレージングが徹底されているのに、「7番」では、なにか詰めが甘くて、指揮者とオケの間に「隙間」のようなものを感じてしまうのです。
最近、BSでクライバーのドキュメンタリーを立て続けに見せられましたが、そこでは彼の気まぐれな一面が強調されていました。おそらく、そんな振幅が、この2つのセッションにも投影されていたのでは、というのも、もちろん「私見」です。

BD Artwork © Deutsche Grammophon GmbH
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by jurassic_oyaji | 2013-06-24 20:39 | オーケストラ | Comments(0)