おやぢの部屋2
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BACH/Wedding Cantata
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Joanne Lunn(Sop), 青木洋也(CT)
櫻田亮(Ten), Roderick Williams(Bar)
鈴木雅明/
Bach Collegium Japan
BIS/SACD-2041(hybrid SACD)




バッハの世俗カンタータの中で、「結婚カンタータ」と呼ばれるものは3つほどあります。BWV202の「Weite nur, betrübte Schatten」と、BWV210の「O holder Tag, erwünschte Zeit」は以前から知られていたものですが、それにごく最近、あのジョシュア・リフキンによって断片しかなかったものから復元されたのが、BWV216の「Vergnügte Pleißenstadt」です。その中で最も有名なのは、このアルバムに収められているBWV202でしょう。ソプラノのためのソロ・カンタータですが、オーボエのオブリガートが大活躍するもの、たしか、かつてドイツ・バッハ・ゾリステンの指揮者のヘルムート・ヴィンシャーマンが、みずからオーボエを演奏している演奏を聴いたことがあるような気がします。
その時は、普通に弦楽器がたくさんいる編成だったのでしょうが、このBCJでは弦楽器が1本ずつしか使われていません。ソロはソプラノ一人だけですし、オブリガートもオーボエのほかにヴァイオリン・ソロもありますから、それに合わせてアンサンブルという面を強調するために、そんな編成にしたのでしょうか。ただ、通奏低音はチェロ、ヴィオローネ、チェンバロ、オルガンと充実しています。通奏低音だけのアリアもありますからね。そこで、英文のライナーを見てみると、チェンバロもオルガンも「Masaaki Suzuki」とありますから、指揮者の鈴木雅明さんが曲によって弾き分けているのでしょう。と、途中でオルガンとチェンバロが同時に聴こえてくる曲がありました。ということは、多重録音?こういう曲で多重録音なんて珍しい、と思ってライナーを読み直してみると、チェンバロを弾いていたのは「Masato Suzuki」という、ローマ字で書くと非常によく似た名前の方でした。ちゃんと2人いたのですね。ちなみに、こちらは「鈴木優人」さんと言って、鈴木雅明さんの息子さんなのだそうです。クイケンみたいに、しっかり「2代目」が育っていたのですね。
オーボエ・ソロは三宮正満さん。ヴィンシャーマンあたりとは全く趣の異なる、鄙びた音色とフレージングで迫ります。ソロを歌っているジョアン・ランに特に不満はないのですが、もっと高音に伸びがあれば、さらに楽しめるのでは、というのはぜいたくな望みです。
カップリングは、BWV173aの「Durchlauchtster Leopold」とBWV36cの「Schwingt freudig emper und dringt bis an die Sternen」という、誕生日のために作られた2つのカンタータです。どちらも弦楽器は倍増されているのは、ソリストが増えたり合唱が加わっているためなのでしょう。
173aではソリストはソプラノとバス、オブリガートにトラヴェルソが2本加わっていますが、4曲目の二重唱のアリアで菅きよみさんと前田りり子さんが素晴らしいソリを聴かせてくれています。このアリアは、バッハがよく用いたダ・カーポ・アリアではなく有節歌曲、ト長調で始まった1番はバスのソロと弦楽合奏と通奏低音で演奏されます。2番になるとニ長調に転調、今度はソプラノソロに2本のフルートと弦楽合奏とによる掛け合いのオブリガートですが、通奏低音がなくなってとても爽やかな音楽に変わります。3番はさらに5度上のイ長調に転調、今度は通奏低音も加わったうえに、ヴァイオリンが超絶技巧のフレーズを弾く中の二重唱となります。
36cでは、最初と最後に合唱が入ります。4.4.3.3という編成ですが、いつものこの団体で気になっているちょっと合唱らしくない歌い方が気になります。この人数だったらもっと暖かい響きが出るはずなのに、と思ってしまいます。ここでも、三宮さんのオーボエ・ダモーレと若松夏美さんのヴィオラ・ダモーレが聴きもの。
実は、最後にもう1曲「おまけ」で入っているBWV524の「クォドリベット」が、このアルバムの中では一番楽しめました。ソリストもバンド(!)も、とことんハメを外して盛り上がっていますよ(小躍り)。彼らにこんな一面があったなんて、ちょっと意外です。

SACD Artwork © BIS Records AB
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by jurassic_oyaji | 2013-07-02 22:53 | 合唱 | Comments(0)