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BEETHOVEN・HUMMEL・SCHUBERT・WEBER/Sonatas and Variations for Flute and Piano
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Fabio De Rosa(Fl)
Stefania Neonato(Pf)
DYNAMIC/CDS 728




ベートーヴェン、フンメル、シューベルト、ウェーバーという「ロマン派」の作曲家によるフルートとピアノのための作品を集めたアルバムです。おそらく、この中で最も有名なものはシューベルトの「しぼめる花変奏曲」でしょうが、その変奏の中で今まで録音されたことのなかった「第1稿」がボーナス・トラックとして収録されているというのが最大の目玉になっています。
使っている楽器は、フルートに関しては何の変哲もないモダンフルート、ムラマツの14Kでした。ただ、なぜかピアノだけは1853年に作られたエラールのフォルテピアノという、まさに「ピリオド楽器」が使われています。なんでも、このステファニア・ネオナートというピアニストは、そういう古い楽器のコレクターでもあるそうで、これも彼女のコレクションの一つです。
CDは、シューベルトから始まります。いかにもフォルテピアノらしい鄙びた音色のイントロが聴こえてきます。ただ、録音のせいでしょうか、いつも聴いている同じ楽器に比べると、なんだか刺激が強いような気がします。続いて入って来たフルートは、極力ビブラートを抑えて昔風の音色を出そうとしているようでした。ただ、なにか無理をしてそういうことをやっているような気が、とても強くしてしまいます。音色に対する配慮に集中するあまり、その他の表現がなんだか雑になっているというか。いや、なにしろかなりテクニック的に難易度の高い作品ですから、指の練習だけは一生懸命やったという跡は見られても、それが精いっぱいでその先の「音楽」が殆ど聴こえて来ないのですよね。さらに、やはりこれも録音のせいなのでしょうが、フルートの音がとても「汚く」聴こえてくるのですね。楽器の音だけがストレートに聴こえて、それを包む込んで欲しいまわりの響きが全然ないものですから、これはもし演奏家本人が聴いても「俺の音はこんなんじゃない!」と怒りたくなるような、はっきり言ってエンジニアの耳を疑うような音に仕上がっているのですよ。
全曲聴き終ったところで、「世界初録音」である第5変奏の第1稿を聴いてみましょう。この曲はもともとシューベルトの友人のフルーティスト、フェルディナント・ボーグナーがとても演奏できないとクレームを付けたために、新たに作りなおしたものが現在出版されている形なのですが、それでも充分「難しい」変奏です。確かに、初めて聴いた第1稿は、とてつもなく難しそうなものでした。頭からいきなりオクターブの連続によるフレーズが出てきますが、おそらくこのあたりがネックだったのでしょうね。ただ、それはボーグナーの楽器では確かに演奏困難だったのかもしれませんが、現代のムラマツであればなんということなくクリアできそうなフレーズのような気はします。それを、このファビオ・デ・ローザというフルーティストは、あたかもそんな9キーの楽器で悪戦苦闘しているかのようにたどたどしく吹いているのですね。確かに、これを聴けばボーグナーが「ボクなあ、とても吹けないよ!」と言った気持ちがよく分かりますから、こういうのも「ピリオド・アプローチ」というのかもしれませんが、ちょっと間違った方向を向いているような気がしないでもありません。というより、単に練習不足で指が回らないだけのように思えてしょうがないのですが。
ウェーバーの「ピアノとヴァイオリン(またはフルート)のための進歩的なソナタ」というのは初めて聴きました。アマチュア向けにということで出版社から委嘱されたものの、出来上がったものはそれほど「進歩的」ではなかったために、結局ボツになり、別の出版社から出版されたというシューベルトとは反対の意味でいわくつきの作品ですが、これも、もっと「進歩的」なフルーティストによってもっと音楽的に録音されていれば、とても楽しめる曲なのでしょう。

CD Artwork © Dynamic S.r.l.
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by jurassic_oyaji | 2013-07-14 21:53 | フルート | Comments(0)