おやぢの部屋2
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BRAHMS/Symphony No.1
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Karl Böhm/
Berlin Philharmonic Orchestra
DG/UCJG-90002(LP)




最近は、かつての音楽再生ツールであった「LP」、つまり「アナログ・レコード」が見直されているのはご存知のことでしょう。これは単なるノスタルジアなどではなく、間違いなくCDよりもLPの方が音が良いことに、多くの人が気が付いてしまったからです。そんな波の最先端の動きが、日本のユニバーサル・ミュージックによる「100% Pure LP」とかいうものの開発でしょう。ただ、現物は1か月以上前に発売されましたが、価格が1枚5800円というベラボーなものでしたから、おいそれとは手は出せないな、と思っていたところに、そんなファンの心理を見透かしたように「レコード芸術」の月評でまとめて紹介されていましたね。もちろん、この雑誌に掲載されている記事の大半は、レコード会社からの物的、金銭的供与の見返りに、真実からは程遠いおべんちゃらを並べ立てるものであることなどははなから承知の上で、とりあえず1枚買ってみることにしました。
クラシックのアイテムは5点ほどリリースされましたが、その中ですでに2種類のSACDが手元にあって、音の比較には事欠かないベームのブラームスを選んでみました。
まずは外観から。輸入盤のLPなどはシュリンク・フィルムなどでシールされていますが、これはかなり厚手の軟質PVCの袋に入っています。
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ところが、なんと、このLPは「ジャケット」には入っていないのです。LPをまず高密度PVCの袋に入れたものを、無地の薄い、レーベルの部分に穴の開いた紙袋に入れて、本来ならそれをボール紙で作った頑丈な袋(ジャケット)の中に入れるものなのですが、その代わりにジャケットの表裏を印刷したちょっと厚手の紙に挟まれているだけなのですよ。
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なんというお粗末なパッケージなのでしょう。しかも、裏面のライナーノーツは、国内盤LP初出時、故渡辺護氏が執筆したものがそのまま使われています。これが、現物のライナーをそのまま復刻したものであればそれなりの価値はあるのかもしれないなーと思うかもしれませんが、テキストだけを現代のデザインで印刷したら、単に新たな原稿を発注する経費を惜しんだだけとしか受け取られません。実際、この半世紀前の原稿には、「シューベルトの第9(7)交響曲」などという、今では全く顧みられることのない表記も見られますからね。
そして、LP本体は透明の樹脂で作られています。かつて「ピクチャー・レコード」という、プレスの際にやはり透明の樹脂で印刷した紙を挟んで作られたレコードがありましたが、なんかそれを思い出してしまう、チープな見た目です。
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これで音が悪かったら「金返せ!」と言いたくなるところですが、さすが、腐ってもLP、聴こえてきた音は、SACDとは次元の違うものでした。イメージ的な表現では、「きわめて音楽的」な音なんですね。何の無理もなく心に届くなめらかな音が、そこにはありました。もう少し具体的に言うと、SACDでは、楽器の輪郭がとても鋭角的なのですね。特定の楽器が見事に浮き出して聴こえては来るのですが、それが全体からは突出しているというイメージ、それがLPでは角が滑らかになって、見事に周囲に溶け込んでいるのです。例えば低弦のピチカートでは、SACDでは単に楽器の低音がはっきり聴こえるのに対して、LPでは、その周りの空気の振動まできちんと伝わってくるのですね。第4楽章の序奏の最後近くで現れる金管とフォゴットによるコラールは、LPからはまざまざと「神々しさ」が感じられますが、いずれのSACDからも、それは単なる音響としか聴こえません。
ただ、材料やカッティングにはものすごくこだわったようなことを言ってますが、このLPの材質はひどいものです。ちょっと静かなところになるとスクラッチ・ノイズの嵐、せっかく素晴らしい音が聴けるというのに、これでは何にもなりません。現実に、「2L」や「TESTAMENT」のLPではほとんどスクラッチ・ノイズが聴こえないことを体験できるのですから、これは到底価格には見合わない粗悪品以外の何物でもありません。非常に残念です。

LP Artwork © Universal Music LLC
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by jurassic_oyaji | 2013-07-24 21:53 | オーケストラ | Comments(3)
Commented by ろーたこっほ at 2013-07-31 05:46 x
ドイツプレスのオリジナルLP(赤ステレオ)と比べたらどんなものでしょうね。オリジナルの市場価格はこのLPの2倍以上はしますし、コンディションの問題もあるので入手は簡単ではないですが。
Commented by jurassic_oyaji at 2013-07-31 08:24
ろーたこっほさん、コメントありがとうございました。
スクラッチは目で見て分かるものではないので厄介です。
Commented by ろーたこっほ at 2013-07-31 15:13 x
新品ということは傷によるノイズではないでしょうから、溝に残っている残留物や埃によるノイズという可能性もあるのではないでしょうか。バキューム式のクリーナで洗浄すればノイズが減るかも知れませんね。