おやぢの部屋2
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MOZART/Requiem
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Lucy Hall(Sop), Angélique Noldus(MS)
Hui Jin(Ten), Josef Wagner(Bas)
Benjamin Dieltjens(B.Cl)
Leonardo Grasía Alarcón/
New Century Baroque, Choeur de Chambre de Namur
AMBRONAY/AMY038




モーツァルトが亡くなった年、1791年に作られた2つの名曲、「クラリネット協奏曲」と「レクイエム」がカップリングされたという、ありそうでなかったアルバムです。と言うのも、普通に演奏するとこの2曲を1枚のCDに収録するのはちょっと難しいのですが、ここでアルゼンチン出身の指揮者、レオナルド・グラシア・アラルコンが選んだ「レクイエム」の楽譜があまり演奏時間が長くないバージョンだったものですから。
つまり、ここでアラルコンは、ジュスマイヤーが「作曲」した(つまり、モーツァルトが作っていない)とされる「Sanctus」、「Benedictus」、「Agnus Dei」は演奏していません。ライナーノーツの中で彼は、「誰が、ミロのヴィーナスに腕を付けたいと思うでしょう」と書いていますが、確かにそれは絶妙の比喩ですね。結局、それは、同じようなコンセプトで作られたモーンダー版には含まれていた「Agnus Dei」までをも切り捨ててしまうという、徹底したものになりました。しかし、モーンダー版で新たに加えられた「アーメン・フーガ」はそのまま使っています。ただ、残りの曲では、オーケストレーションはモーンダー版ではなく、バイヤー版のものを採用しています。さらに、そこに指揮者の裁量で、トランペットなどのパートを「自由に」改変しています。確かに、「Dies irae」のトランペットは、弦楽器と同じシンコペーションのリズムを刻むという、どの修復稿にも見られないユニークな形に変わっていましたね。
そんなトランペットの扱いにも見られるように、アラルコンの演奏はとことん「自由」なものでした。特に、思いきりぶっ飛んだダイナミクスの選択には、いたるところでハッとさせられます。それはまさにラテン系のひらめきといった感じ、そんな斬新な表現によって、この曲の音楽の幅が格段に広がっています。つまり、これは決して「典礼」のための音楽ではなく作品そのものの持つ魅力を目いっぱい味わってもらいたいという指揮者の意向なのでしょう。それは、「典礼」には欠かすことのできない楽章を無理やりでっち上げたジュスマイヤーの仕事を否定したことと、見事に呼応しています。
そんな指揮者の思いに応えて、とても柔軟な音楽を聴かせてくれている合唱には、感服しました。合唱団は今回初めて聴いたベルギーのナミュールを本拠地とした団体です。韓国が本拠地ではありません(それは「ナムル」)。それぞれのパートが若々しい音色で、常に表現のベクトルがはっきり見えてくる、とても素晴らしいものです。オーケストラはもちろんピリオド楽器、こちらは2009年に出来たばかりの、本当に若い団体ですが、しなやかな表現力は魅力的です。
この「レクイエム」では、録音の時にちょっと面白い並び方をしています。指揮者のすぐ目の前にバセットホルンとファゴット、それを囲むように弦楽器とソリスト、その外周に金管楽器とオルガン、一番後ろが合唱です。メインマイクはちょうど合唱とオケの間あたりにあるので、録音のバランスとしては別に木管が目立つということはないのですが、指揮者の細やかな指示はその木管チームにすぐに伝わって、弦と一緒になったアンサンブルはとても緊密になるのではないでしょうか。
クラリネット協奏曲では、ソリストのディールティエンスはもちろん「バセット・クラリネット」を吹いています。こちらも、決してソロを目立たせるのではなく、ソロとオケとの対話を存分に楽しみつつ、そんな「悦び」を伝えようとしているような姿勢が感じられます。低音は普通のクラリネットより下まで出せるので、「楽譜通り」に演奏できますが、そんな「超低音」をことさら力まずに爽やかに吹いているのがとても気持ちよく聴こえます。もちろん、上向音型で付いたシャープは、下降するときにはなくなるという「ピリオド」の基本もしっかり押さえられています。

CD Artwork © Centre culturel de recontre d'Ambronay
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by jurassic_oyaji | 2013-07-26 22:00 | 合唱 | Comments(1)
Commented by knock off at 2013-08-16 15:56 x
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