おやぢの部屋2
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Sommernachts Konzert 2013
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Michael Schade(Ten)
Lorin Maazel/
Wiener Philharmoniker
SONY/88883 71214 9(BD)




このところ、「ニューイヤー・コンサート」と並んで、大々的に映像の露出が目立つようになってきた、ウィーン・フィルの「夏の夜のコンサート」が、今年もDVDBD、そしてCDでリリースされました。「夏」とは言ってますが、実際に行われたのは5月30日ですから、ほとんど「初夏」といった感じですね。
「ニューイヤー」は普通にホールの中でのインドア志向でしたが、「真夏」の方は目いっぱい「アウトドア」の趣、なんたって、あの(と言っても、実際に行ったことはありませんが)広大なシェーンブルン宮殿の庭園全体が会場なのですからね。まさに山あり谷あり、大きな池まであるという敷地の真ん中に大きなテントを張って、その中で演奏します。もちろん、会場全体に音が聴こえるようにPAにぬかりはありませんし、野外フェスさながらの巨大LEDモニターで指揮者の姿をアップで見せることも忘れてはいません。
さらに、おそらくこの模様はORFによって多くの地域に生放送されるのでしょう。そのために設置されるのが、本来はスポーツ中継などで使われていた「カムキャット」というシステムです。
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これは、会場の上空に長~いワイヤーを張って、その上に小型の無線カメラを走らせる、というシステムです。最近では、それこそ「ニューイヤー」でも、ホールの天井にワイヤーを張って、シャンデリアの間をカメラが動いている映像が見られますから、視覚的にはお馴染みのはずです。ただ、やはり本領を発揮するのは室内ではなく屋外ですから、この野外コンサートでのカムキャットの活躍ぶりには、最初に見た時には感動してしまいました。もっとも、そのからくりも分かってしまい、それが何年も同じ形で続いて行くと、逆に陳腐に思えてしまうのは仕方がありませんがね。ですから、今回も同じように、手間がかかっている割には、もはやありきたりのショットにしか思えなくなるようになっている映像が登場すると、「またか!」という感慨しか起こらなかったのは、ちょっと残念なことでした。
もっと残念だったのは、当日はかなりの雨が降っている中で、このイベントが敢行されたということです。ご自慢のカムキャットのレンズには雨粒が付着してとても見ずらい映像になっていますし、なによりも、見ている人たちが雨ざらしの中でカッパに身を包んで寒さに震えながらコンサートを見ているという様子があまりにも痛々しくて。なんたって、生中継の後には、このようにパッケージが世界中で発売されることが前々から決まっていますから、いくら天気が悪くても中止になんかは出来ない事情があるのでしょうが、これはとても異様な光景に見えてしょうがありません。「シェーンブルンの雨傘」なんて、シャレにもなりません(それは「シェルブール」)。
そんな中で、ひたすら淡々と演奏に没頭しているマゼールとウィーン・フィルは、いくらそれが仕事とはいえ、ことのほか異様に感じられます。この日のプログラムは、お約束のヴェルディとワーグナー、最初の「アイーダの入場行進曲」などは、こんな鬱陶しい雨空を吹き消すような晴れやかな音楽をやってくれるのかと思いきや、それは一層滅入ってしまいたくなるような鈍重で暗い「行進曲」だったのですからね。そもそも野外コンサートには最もふさわしくない「トリスタンの前奏曲と愛の死」を、こんな雨の中で本気で格調高く演奏されたりしたら、マジで死にたくなってしまうかもしれませんよ。
ただ、ゲストのシャーデが、彼にしてはとても珍しいこの二人の作曲家の歌を披露してくれたのは、ちょっとした収穫でした。「ローエングリンの名乗り」などは、別にヘルデンでなくてもこの歌が心を打つことを見事に証明してくれたのではないでしょうか。そして、それは人気のフォークトに何が足らなかったのか、はっきり分かる歌でもありました。

BD Artwork © Sony Music Entertainment Inc.
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by jurassic_oyaji | 2013-07-28 21:13 | オーケストラ | Comments(0)